2014年3月22日土曜日

冬眠明け二歳の宇野系らんちゅう

お彼岸となりましたので、我が家も始動です。
日中10度を越える日が多くなってきました。

でも、まだ水は冷たいですね(>_<)
魚を掬うときは、お湯を入れたバケツで手を暖めながらじゃないと無理です...

さて、今日は、冬眠明二歳を掬って撮影してみました。
体長35mm程度です。


1番の魚は、全体の体型のバランスの良い仔ですね。
まず、頭部の長さ、胴の長さ、筒の長さと下ろし方を見た時に、調度良いぐらいの比率になっていると思います。
目幅と背幅があり、腹形も良く、腹から筒に掛けてスムーズにつながっているので、しっかりした太さを見せる魚になりそうです。
こういうタイプは、魚任せで育てていっても、バランスのとれた体型に育っていく会向けの魚だと思います。
3番や5番の仔は、1番に比べると、尾筒が長くて下ろし方がゆるいので、腹から尾に掛けて間延び感があります。

2番の 魚は、エラの直後(というかエラの内側)から丸みのある腹のラインが特徴的な仔です。
魚を上から見た時の腹のシルエットのラインが丸みを持っているということなのですが、5匹の中では、2番だけが丸みがあります。(微妙な差ですが)

では、問題。

下の5匹の中で、上の2番の魚がどれか、腹のラインを見てわかりますか?

答えは...

右下の仔ですね。

2番のように、全体のシルエットは細いけど、エラから腹にかけてのラインに丸みを見せる魚を、「柔らかい魚」と言うことがあります。
らんちゅうは、 ある時期(我が家では4歳頃)に頭蓋骨がぐっと幅を増す時期があるのですが、
柔らかい魚は、その時に、背幅もぐっと広がって見えるようになることがあります。

硬い魚は、体の成長を体高方向に持って行ってしまいますが、柔らかい魚は、体の成長を横方向に広げてくれるのです。
ですので、瘤太郎は、種に使う魚は柔らかい方が良い(特にメス)。と考えています。ただし、柔らかい魚は、全体のシルエットを細く見せる魚が多いです。(腹だけぼってり見せるような洋なし型の腹形)
柔らかい魚は、餌をつけすぎるとブヨブヨになっていきますから、ある程度魚の成長を見ながら餌をコントロールしていかなければなりません。
そんな飼い方をしていると、柔らかい魚が仕上がるのは4歳の秋か5歳になってからです。
親としての資質を見極めるには、そこまで待たないといけないということです。
種筋には柔らかい親、会筋には硬めの親を使うのも、そういった考えに基づいています。
(柔らかい魚もじっくり育てれば、6歳、7歳で会に出品することは可能ですけどね)


3番と4番は似たようなタイプですが、4番は背出しの少し後ろから背が高く盛り上がっていますね。
3番はすっとスムーズな背をしていると思います。
どちらも上から見ての判断(写真だけの判断)なのですが、わかりますか?

3番は、鼻先から腹じまいまでは雰囲気の良い魚ですが、筒伸びがあり、尾付けのあたりで少ししゃくれてますね。後、尾が少し大きすぎるかな。
「筒から後ろを隠したら良い魚なのになあ」 なんてボヤいてしまう魚ですね。
胴や肉瘤を重視する場合、尾筒や尾はあまり気にしない人もいます。瘤太郎もさほど気にしませんが、2世代続けて、同じような問題を持つ魚を親に選ばないといったようなことは気にしています。

4番は、背出しの幅があるので、背を抑えていたらもっと背幅を見せていたと思います。
残念ですね。背が途中から盛り上がる魚は、見かけの背幅を太くすることがありますが、
神経棘が長くなっていたり、筋肉の形が悪い、あるいは背骨が奇形...など、何らかの不都合があるはずですから、種には使いたくないと考えています。
この仔については、尾のビビリがひどくならないなら会用になるかな...

さて、上見ではわかりにくい話が続いたので、ここで別の写真を...

きっちり確認しているわけではないですが、多分番号はあってると思います。
アングルが悪くて2番の筒のシャクレはわからないですね(^_^;)

4番と5番の背が盛り上がってるのがわかりますか?
このわずかな盛り上がりを上見で判断できるかどうか...
実際は、分からないはずなのですが、4番なんかは、その血統の平均と照らしあわせて
考えると、これだけ背出しの幅があれば、もっと背幅が太く見えるはずなのに...
という違和感を感じるんですよね。
でも背幅があまり太く見えない...
なので、背が持っているんじゃないか?と疑うわけです。
後は、背の鱗にかかる微妙な陰影で、横から見た時の背のカーブの丸みを想像したりして、
背の高さを見抜いています。
だから、我が家の見慣れた血統の魚なら、上見の写真だけである程度の横見の姿を想像できるのですが、知らない血統の魚だとそうは行きません。

さて、最後に5番ですが、腹の硬そうなスッとした魚という印象です。
たまたま体勢が少し頭を下げるような格好になっているかもしれませんが、
背出しのVが深いですよね。
4番も5番も背が盛り上がっているのですが、4番は、背出しまでは低いです。
それに比べて5番は背出しから高くでています。
ここも微妙な違いですが、読み取っておくべき違いです。

この5番のようなタイプは、兜巾型になってくれるなら置いておくけど、
そうでなければ、「背に嫌な肉を盛る魚」という評価になってしまいます。
兜巾型でも背を抑えたタイプは出てきますので、上見でのシルエットが5番と同じように腹付きが控えめな兜巾型の胴造りをしていて、背を抑えた魚が他にいれば、この魚は種用として期待するのはやめて、会用に仕立てていくことになると思います。
ただ、会用に仕立てる場合は、尾のビビリが強いので、兜巾ブリブリにして、「わ~凄い兜巾」って感じで驚かせる魚になるよう、餌を強めにしていくことになるのでしょうね。

こんな感じで、まだ35mmの小さな魚ですが、それなりに先行きを見通したりしています。
そうじゃないと、なんでもかんでも残さなきゃならなくなりますからねえ。

2014年3月12日水曜日

小さくても魅力的な宇野系らんちゅうを創る


魚と一緒に瘤太郎も冬眠状態でしたが、先日、いくつかの舟を
水換えしたので、久しぶりに...

今年も大ごとになるような舟は無く、無事越冬してくれたみたいです。
とはいえ我が家の当歳は極端に小さいので、寒さと古水で松かさになって
しまう魚もいるのですが、全換水の後、治ればそれで良しとします。


ちなみに、冬眠明けの水換えも一気に全換水です。
コケだらけの舟もクリーニングするので、ピカピカです。
水合わせは舟から古水のまま退避させた洗面器に
浄水器を通した水道水をちょろちょろと注ぐ程度です。


よく、全換水すると調子を崩すといいますが、我が家は、
エラを含めて病気らしい病気はしないので、水合わせだけで十分です。
 なぜ、大丈夫なのかの説明は、またの機会にして、

今日は、魚のサイズ(というより小さく飼うこと)について少し...


さて、我が家の冬眠明けの当歳が、どの程度小さいかと言うと、
一番小さい舟だと

こんな感じ。
左下の排水弁の白い部分 が500円玉ぐらいなので、
小ささがわかってもらえると思います(^_^;)

協会系の魚なら、60日あれば、これより大きくなってますよね(^_^;)


らんちゅうは多様であるからこそ面白いと言っているように、
瘤太郎は、大きならんちゅうも好きです。
日本らんちゅう協会の品評会に行くと、「洗面器に入れるのは無茶でしょ!」
と言いたくなるようなサイズのらんちゅうがいますが、凄いですよね。

餌やって水換えて選別して、餌やって水換えて選別して...
その作業を繰り返していくことで、どんどん大きくしていくのですが、
瘤太郎は、時間的にも経済的にも飼育環境的にも、そういった飼育は無理です。

それに、胴の造りや肉瘤の質も楽しみたいと思っているので、ある程度の数の魚を、
ある程度大きくなるまで残して置かなければなりません。
選別で早々と数を減らすというようなことができないんです。

そんなこんなで、大きく飼うのは無理だな... と悟ったんです。

だから、小さく飼っている。というのが本音です。


そして、小さくしか飼えないなら、小さくても魅力的ならんちゅうを創りたい。と、
思うようになったんです。



▼小さくても魅力的ならんちゅうとは

小さくても魅力的ならんちゅうと、単に幼いらんちゅうは、違います。
幼いらんちゅうは、肉瘤の発達が無く、背の峰っけも強く、腹型も未完成です。
体長8cmの魚(幼く見える)
12cmぐらいまで大きくして、とにかく太らせないと
親魚としての貫禄はでない。


一方、小さくても魅力的ならんちゅうは、十分に発達し均整の取れた肉瘤を持ち、
背幅を見せ、ふくよかな腹型を持つ魚です。

体長7cmの魚

このサンプルは、さほど背幅のあるタイプの魚ではないのですが、
充実した肉瘤と腹型で、魅せてくれる魚になっています。


通常、肉瘤を大きくしたり、背幅や腹型を付け、親魚としての風格や貫禄を
見せるようにするには、しっかりと餌を与え、太らせ、体長が10cmを超える
ぐらいには育てていかなければならないと思います。

しかし瘤太郎は、体長7cm程度でも、十分貫禄のある魚を造れるような
血統を創りたいと思っています。

瘤太郎の魚をネットなどの写真でしか見たことが無い人が、実物を見に来た時、
「えっ、こんなに小さいの!」と驚かれることが良くあります。
写真だと比較対象が無いので、大きさがわかりにくいのですが、
魚の完成度から10cm以上はあるだろうと思っておられるのでしょうね。
でも、我が家では7cmあれば大きい方なので、驚かれるのです。

このように、小さくても宇野系らんちゅうの肉瘤や胴造りの良さを楽しめる
血統が作れれば、飼育環境に恵まれてなくても、より多くのらんちゅうを
育てることができ、らんちゅうの個性を楽しむことができます。

餌やりと水換えを繰り返さなくても、のんびりゆっくりと育てていくことが
できるようになります。


そのようならんちゅうが、「小さくても魅力的ならんちゅう」 であり、
そういったらんちゅうを飼う楽しさだと思っています。


▼小さくても魅力的ならんちゅうの育ち方

続きはまたそのうち...

次回は、
そういったらんちゅうは、何歳ぐらいで完成するの?
なぜ、小さくても肉瘤が発達するの?
当歳、二歳、三歳の頃は、どんな飼い方をするの?
というような事を書いてみたいと思います。