2013年8月24日土曜日

柄物:面かぶり(会用系統三歳)

我が家にいるランチュウは、9割以上が素赤と猩々です。

はっきりわかってはいないのですが、白は優性遺伝?という説もあるので、
基本的に「種は素赤」と考えていますので、更紗は、会用やペット用に
あげてしまう事が多く、ほとんど残りません。

それでも、役物の柄だと残しておくこともあります。

面かぶり 宇野系らんちゅう

 上は、会用系統の三歳。面かぶりっぽく出たものです。
下の魚のほうは、尾先まで赤い「ベタ赤の尾」。胸鰭も先まで赤いです。
右の頬に若干白が差していますが、ほぼ面かぶり。

上の子は、ヒレ先を少し洗っていますが(ヒレ先が白くなってる)、
頭部は顎のしたまで真っ赤です。

同胎ですが、上がメス、下がオスなら 来年一腹とってみましょうかねえ。

そもそも、らんちゅうを始めたきっかけは、フンタンプルプルの面かぶりの
魚を見る機会があって、なんてキュートなんだ!と思ったからなんです。

今は、胴の質だ、兜巾の肌だとか、マニアックなことを言ってますが、
やっぱり紅白の面かぶりランチュウは、それだけで華になる良さがあります。

色柄の美しさを楽しむのも宇野系ランチュウ・京都筋ランチュウの多様な
楽しみ方の一つですから、スペースに余裕があれば、面かぶり系統も
やってみたいですよね。

ちなみに、面かぶりや更紗は、深みのある赤と、パール感のある白が
いいですよね。
もちろん、ベタ赤のちび尾。
フンタンボンボンの龍頭もいいですね。

そして、面かぶりを美しく見せる上で、何よりも大切なのは、
頭の長さと胴の長さの比率。

1 : 1.5ぐらい?

長すぎず、短すぎず、がいいですね。


それと、目幅と側の張り出しがしっかりしてるほうが良いと思っています。
腹幅より頭部が細い面かぶりも、好きになれません。


胴の型の違い

今日は、こちらの3匹を見ながら。


種用系統の当才魚です。
尾の形や開きがそこそこに良い魚だけをピックアップして育てている20匹の群の中の3匹です。
全長は、3匹ともほぼ同じで30mmほど。


目幅


背幅


胴の型


比べてみていかがでしょうか?



上の3匹の向きと長さを揃えて、
並べてみたのが下の写真です。


右の魚が細いことは、わかりますよね。



では、さらに。


補助線をつけてみました。

当歳の宇野系らんちゅうの選別





左と中央の目幅は、ほとんど同じ。右は目幅が少し狭いですね。

背幅は、矢印の先端のあたりの幅で見るのと、矢印の下あたりで見るのとで
違ってきますが、瘤太郎は、矢印の先端付近で見ています。

左の魚と中央の魚の背幅を比べると、矢印の下のあたりの背幅は変わらない
のですが、先端あたりの背幅でみると、中央の魚は少し狭くなっています。

極端な言い方ですが、背出しから筒のあたりまでの背幅の幅を、
線で描くと、左の魚は V  中央の魚は ( ) になっているんです。

ある意味、右の魚も V 字型なのですが、そもそも背幅が細いですよね。

左の魚のように、広い背幅を、背出しからしっかり出してくる魚が貴重です。

背出し部分の背幅の有無は、頭蓋骨の形状によって左右されるようです。
頭蓋骨の背出し部分が扁平で広ければそれにつられて背出しも扁平で
幅広くなると考えています。
この頭蓋骨の形状が、背を抑えた幅広の骨格を持つらんちゅうを作る
上で、重要なポイントだと考えています。


また、 背出しの部分まで広いということは、首が上向きに付いている場合が
多いということ。そのため兜巾も前のめりになりにくく、後端までどっしりと
広い兜巾が乗る可能性が高いです。



さて、もう1つ補助線を付けた腹型についてですが、

左の魚よりも中央の魚のほうが、腹の重心が下(後ろ)にあると表現しています。
左は卵型の腹、中央は水ナス型の腹と呼び分けています。


卵型の腹型を持つ魚は、横への張り出しが充実した頭と組み合わさることで、
宇野系らんちゅうの魅力を「曲線美」として表現してくれます。
但し、腹付きが浅くなるので、 筒が間延びすると下品になります。
また、上見で峰っぽさが目立つと梅干しのタネのように見えるので、
背はしっかり抑えている方が良いと思います。

また、餌が強すぎると、エラ下(エラのすぐ後ろ)からムチッと膨らんでしまうので、
エラ下がスッキリと丸みを帯びるように調整したいところです。

中央の魚のような水ナス型は、会用に仕立てるには、最適です。
水ナス型の魚は、腹の重心が後ろにあり、腹じまいがふっくらするので、
全体として、どっしりとしたシルエットになります。
獅子頭で適度な長さの筒と組み合わされば万人受けする魚に仕上がるでしょう。
ただし、龍になるか、獅子になるかは、系統的なものはあるにせよ、
3歳ぐらいにならないと、わかりません。
なお、水ナス型の魚、腰が高いと腹と筒の境目のくびれが目立つようになり、
筒が細く見えてしまいます。
なるべく、腰のくびれが目立たず、腹から筒に向けてなめらかな曲線を
持つふっくらした感じの魚を残していくようにしたいです。


さて、右の魚ですが...

腹の型は、腹がほとんど横に張り出さないので胡瓜型と呼んでいます。
胡瓜型の中でも背幅と腹幅があまりかわらない場合、丸胴ということに
なります。

兄弟が皆細い場合は、そういう系統なので。ということで終わってしまいますが、
血統的に幅の出る血統で、肉瘤もしっかり載る系統の場合、
右の魚のように、胡瓜腹で丸胴の場合、兜巾型の魚になることがあります。

ただ、腹幅があって、背幅が無いパターンで、特に背出しが細くなっている場合は、
オカメタイプや龍頭タイプになる可能性のほうが高いです。

丸胴の兜巾タイプは、ぽってりと大きな兜巾を載せることがあるので、
尾形の良い魚は、残しておいて、飼いこんで楽しみをとっておくのも良いですね。

ただ、絶対に出るというわけではないですし、兜巾タイプは4歳、5歳になってから
完成するという晩成タイプが多いので、ま、気長に。

なお、写真の右の魚は、それにしてもちょっと頭蓋骨が小さすぎますね。
これでは兜巾が載る土台が作れません。
せめて、左のエラが赤くなってるところぐらいまで背出しが下がってれば
期待出来たかもしれませんが。

ということで、この3匹の場合、

左は、柔らかさや背幅など、種用の質を見極めていく。
中央は、会用兼柔らかみがでてくれば種用にもというどっちも狙い。
右は、とりあえず尾形も良いので、兜巾タイプならラッキーの数合わせ。

という感じでピックアップしています。

ピックアップして大きくしている魚は、全て会用ということではなく、
ある程度大きくしないとわからない種としてのポテンシャルを評価するために
別飼いして大きめに飼っているという意味もあります。
で、尾形が良ければ、種にはダメかなって時は、会用にって感じでしょうか。

2013年8月21日水曜日

我が家の筋の構成

我が家では、魚の骨格(基礎)を作る軸となる筋と、質の良い肉瘤の遺伝子を維持するための筋、そしてまとまりの良い会用の魚を出すための筋の3つに分けて飼育しています。

種用系統(軸)

 骨格や肉付きと肉瘤の形を重視した筋で、我が家の軸となる筋です。

 基本的にインブリード(直系交配)です。
我が家の種用系統の参考魚
我が家の種用系統の参考魚

 上の写真の3匹の場合、左と真ん中は、目幅や背幅、背から腹にかけてのふっくら感などが良くて残しています。右の魚は、二匹に比べると細いのですが、首が上向きに付いているので残しています。




兜巾系統

 良質な兜巾の遺伝子を維持するための筋です。
 兜巾の質は、形、大きさ、肌質で評価します。
 魚が細く、硬くなっていく場合、片親を種用系統から 導入して交配する場合があります。

我が家の兜巾系統の宇野系らんちゅう(参考魚)
我が家の兜巾系統の参考魚

我が家の兜巾系統の宇野系らんちゅう(参考魚) の横見
我が家の兜巾系統の参考魚の横見


 上の1枚目の写真の魚は、しっかりした目幅=広いおでこに、幅のある兜巾が乗っています。
 兜巾の前端部の膨隆感があり、兜巾の表面にブツブツ感が無く、比較的ツルンとして
 いることも気に入っている点です。
 同胎で、もう少し細身に出た魚は、もっとツルンとしてます。

 2枚目の写真は同系統の別の魚ですが、兜巾の高さと形を見てもらうために撮った写真です。
 まだ、若い魚なので、ここからどのように成長していくのか楽しみです。




会用系統

 総合的なバランスを重視している筋です。
 少し短寸に仕上がるように交配を整えています。
 選別では、系統としての種親選びの他、尾形や尾張りも意識して、会用魚を選別をします。
 種用系統と兜巾系統の血を適宜導入しています。
我が家の宇野系らんちゅう 会用の系統
我が家の会用系統の参考魚

 上の写真の魚は、同胎の三歳魚です。
 会用の系統といっても、会用に飼い込んでいるわけではないので、まだ全長60mm弱の小さな魚です。
 尾形や尾の張りの良い魚は、うちに居ると飼い込んでもらえなくてかわいそうなので、
早くに貰われていきます。
 なので、うちでは、そこそこ良い魚を少数選んで別飼いし、ほどほどに大きくしています。
 尾の張り、顔つき、腹の型、長すぎず短すぎない胴・・・ といったところが、会用系統のチェックポイントでしょうか。
 3匹それぞれに顔つき(肉瘤の形)が違うので、見比べてください。



以上の3系統が我が家の筋です。

瘤太郎のこだわり

このブログを楽しんでもらうためには、私の基本的な考えを知っておいてもらうほうが良いですよね。

瘤太郎のこだわり

1)らんちゅうを「筋(すじ)=血統」として改良することを楽しむ

 一匹の優等魚を作ることよりも、仔出しの良い系統を作ることを目標にしています。
 残念ながら、私には時間的にも設備的にも優等魚を目指して飼い込む余裕はありません。
 会向きのキズの少ない仔は、小さいうちに誰かに託してしまいます。
 些細なキズを見るよりも、良い所を沢山持つ魚を安定して出せる筋を作りたいと思っています。

2)ランチュウには、いくつかの型があって、型それぞれに、より美しい表現がある。
  型それぞれに整った形質を持つ筋を作る。

 一般的には、兜巾タイプ、獅子頭タイプ、龍頭タイプというような頭の形を基本にしたタイプ分けがされますが、もう少し細かく分けることができるようです。
 また、あるタイプの頭には、あるタイプの胴の型が似合うという傾向もあるようです。
 そういった、タイプの組み合わせを、整えて、より良い魚を作っていきたいのです。

3)尾でハネるのが一番手っ取り早いが、尾でハネると、尾以外のパーツの形質の良し悪しを見る前にハネてしまうことになるので、多少の尾の問題は、ハネの対象としない。

 奇形魚・不正魚(サシ、ツマミ、ホタテ、背のゴツなど)をハネた後、尾型と尾張りで跳ねれば、生後2ヶ月で生まれた魚の8割はハネることができるでしょう。
 しかしながら、それでは、骨格の良さや、肉瘤の質を見ることなくハネてしまうことになります。
 瘤太郎は、尾は一番遺伝の振れの大きいパーツだと思っていますので、遺伝的には尾よりも骨格や肉瘤の質の保存を優先しています。
 そのため、多少尾の張りが悪くても(場合によってはすぼけていても)、マクレがあっても、残しています。

4)病気にさせない。病気で多数落とすのは、尾でハネてるのと同じこと...

 2歳以降でエラになると、治すのが大変だから、当歳のうちにエラにかけておくという考えで、当才魚を半分ぐらい殺すような飼い方をすることもあるようですが、瘤太郎は二歳以降もエラにさせない飼い方を重視し、当歳をエラにかけて減らすようなことはしません。

5)残った魚の減らし方

 尾でハネず、病気にさせないので、多数が残ります。
 多数残ったままでは大きくならず、ポテンシャルを発揮させることができません。
 そのため、多数残した中から、いくつかのタイプをピックアップして、少数で別飼いし、大きくします。

 それでも残る魚を減らさなければならないので、奇形魚・不正魚をハネたあとは、その腹の平均とくらべて、細い魚、あまりに長い魚、あまりに小さい魚等を跳ねていきます。

全長30mm弱の仔


尾先まで含めても30mmに満たないような当才魚
京都筋宇野系らんちゅうの当才魚
 同胎で、同じように育ててきた、同じぐらいの全長の魚、3匹(左、右、下)です。
 尾形で残すなら、右と下でしょうか。(ちょっと尾が大きいですが)
でも、瘤太郎が順位を付けるなら、左→右→下の順です。
左の魚が、一番骨格のバランスが良さそうです。
また、背から腹にかけてのふっくらした感じが、柔らかさを演出しています。
下は、目幅も背幅もなく、腹が浅い(筒が長く見える)ので、会用にしかなりそうにありません。
右の魚は、特に悪くはないのですが、左の魚と見比べると、太みに欠けます。
ただ、頭骨は大きいので、今後、成長とともに全体の印象も変わってくるかもしれません。