今日は、こちらの3匹を見ながら。
種用系統の当才魚です。
尾の形や開きがそこそこに良い魚だけをピックアップして育てている20匹の群の中の3匹です。
全長は、3匹ともほぼ同じで30mmほど。
目幅
背幅
胴の型
比べてみていかがでしょうか?
上の3匹の向きと長さを揃えて、
並べてみたのが下の写真です。
右の魚が細いことは、わかりますよね。
では、さらに。
補助線をつけてみました。
左と中央の目幅は、ほとんど同じ。右は目幅が少し狭いですね。
背幅は、矢印の先端のあたりの幅で見るのと、矢印の下あたりで見るのとで
違ってきますが、瘤太郎は、矢印の先端付近で見ています。
左の魚と中央の魚の背幅を比べると、矢印の下のあたりの背幅は変わらない
のですが、先端あたりの背幅でみると、中央の魚は少し狭くなっています。
極端な言い方ですが、背出しから筒のあたりまでの背幅の幅を、
線で描くと、左の魚は V 中央の魚は ( ) になっているんです。
ある意味、右の魚も V 字型なのですが、そもそも背幅が細いですよね。
左の魚のように、広い背幅を、背出しからしっかり出してくる魚が貴重です。
背出し部分の背幅の有無は、頭蓋骨の形状によって左右されるようです。
頭蓋骨の背出し部分が扁平で広ければそれにつられて背出しも扁平で
幅広くなると考えています。
この頭蓋骨の形状が、背を抑えた幅広の骨格を持つらんちゅうを作る
上で、重要なポイントだと考えています。
また、 背出しの部分まで広いということは、首が上向きに付いている場合が
多いということ。そのため兜巾も前のめりになりにくく、後端までどっしりと
広い兜巾が乗る可能性が高いです。
さて、もう1つ補助線を付けた腹型についてですが、
左の魚よりも中央の魚のほうが、腹の重心が下(後ろ)にあると表現しています。
左は卵型の腹、中央は水ナス型の腹と呼び分けています。
卵型の腹型を持つ魚は、横への張り出しが充実した頭と組み合わさることで、
宇野系らんちゅうの魅力を「曲線美」として表現してくれます。
但し、腹付きが浅くなるので、 筒が間延びすると下品になります。
また、上見で峰っぽさが目立つと梅干しのタネのように見えるので、
背はしっかり抑えている方が良いと思います。
また、餌が強すぎると、エラ下(エラのすぐ後ろ)からムチッと膨らんでしまうので、
エラ下がスッキリと丸みを帯びるように調整したいところです。
中央の魚のような水ナス型は、会用に仕立てるには、最適です。
水ナス型の魚は、腹の重心が後ろにあり、腹じまいがふっくらするので、
全体として、どっしりとしたシルエットになります。
獅子頭で適度な長さの筒と組み合わされば万人受けする魚に仕上がるでしょう。
ただし、龍になるか、獅子になるかは、系統的なものはあるにせよ、
3歳ぐらいにならないと、わかりません。
なお、水ナス型の魚、腰が高いと腹と筒の境目のくびれが目立つようになり、
筒が細く見えてしまいます。
なるべく、腰のくびれが目立たず、腹から筒に向けてなめらかな曲線を
持つふっくらした感じの魚を残していくようにしたいです。
さて、右の魚ですが...
腹の型は、腹がほとんど横に張り出さないので胡瓜型と呼んでいます。
胡瓜型の中でも背幅と腹幅があまりかわらない場合、丸胴ということに
なります。
兄弟が皆細い場合は、そういう系統なので。ということで終わってしまいますが、
血統的に幅の出る血統で、肉瘤もしっかり載る系統の場合、
右の魚のように、胡瓜腹で丸胴の場合、兜巾型の魚になることがあります。
ただ、腹幅があって、背幅が無いパターンで、特に背出しが細くなっている場合は、
オカメタイプや龍頭タイプになる可能性のほうが高いです。
丸胴の兜巾タイプは、ぽってりと大きな兜巾を載せることがあるので、
尾形の良い魚は、残しておいて、飼いこんで楽しみをとっておくのも良いですね。
ただ、絶対に出るというわけではないですし、兜巾タイプは4歳、5歳になってから
完成するという晩成タイプが多いので、ま、気長に。
なお、写真の右の魚は、それにしてもちょっと頭蓋骨が小さすぎますね。
これでは兜巾が載る土台が作れません。
せめて、左のエラが赤くなってるところぐらいまで背出しが下がってれば
期待出来たかもしれませんが。
ということで、この3匹の場合、
左は、柔らかさや背幅など、種用の質を見極めていく。
中央は、会用兼柔らかみがでてくれば種用にもというどっちも狙い。
右は、とりあえず尾形も良いので、兜巾タイプならラッキーの数合わせ。
という感じでピックアップしています。
ピックアップして大きくしている魚は、全て会用ということではなく、
ある程度大きくしないとわからない種としてのポテンシャルを評価するために
別飼いして大きめに飼っているという意味もあります。
で、尾形が良ければ、種にはダメかなって時は、会用にって感じでしょうか。