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2014年3月12日水曜日

小さくても魅力的な宇野系らんちゅうを創る


魚と一緒に瘤太郎も冬眠状態でしたが、先日、いくつかの舟を
水換えしたので、久しぶりに...

今年も大ごとになるような舟は無く、無事越冬してくれたみたいです。
とはいえ我が家の当歳は極端に小さいので、寒さと古水で松かさになって
しまう魚もいるのですが、全換水の後、治ればそれで良しとします。


ちなみに、冬眠明けの水換えも一気に全換水です。
コケだらけの舟もクリーニングするので、ピカピカです。
水合わせは舟から古水のまま退避させた洗面器に
浄水器を通した水道水をちょろちょろと注ぐ程度です。


よく、全換水すると調子を崩すといいますが、我が家は、
エラを含めて病気らしい病気はしないので、水合わせだけで十分です。
 なぜ、大丈夫なのかの説明は、またの機会にして、

今日は、魚のサイズ(というより小さく飼うこと)について少し...


さて、我が家の冬眠明けの当歳が、どの程度小さいかと言うと、
一番小さい舟だと

こんな感じ。
左下の排水弁の白い部分 が500円玉ぐらいなので、
小ささがわかってもらえると思います(^_^;)

協会系の魚なら、60日あれば、これより大きくなってますよね(^_^;)


らんちゅうは多様であるからこそ面白いと言っているように、
瘤太郎は、大きならんちゅうも好きです。
日本らんちゅう協会の品評会に行くと、「洗面器に入れるのは無茶でしょ!」
と言いたくなるようなサイズのらんちゅうがいますが、凄いですよね。

餌やって水換えて選別して、餌やって水換えて選別して...
その作業を繰り返していくことで、どんどん大きくしていくのですが、
瘤太郎は、時間的にも経済的にも飼育環境的にも、そういった飼育は無理です。

それに、胴の造りや肉瘤の質も楽しみたいと思っているので、ある程度の数の魚を、
ある程度大きくなるまで残して置かなければなりません。
選別で早々と数を減らすというようなことができないんです。

そんなこんなで、大きく飼うのは無理だな... と悟ったんです。

だから、小さく飼っている。というのが本音です。


そして、小さくしか飼えないなら、小さくても魅力的ならんちゅうを創りたい。と、
思うようになったんです。



▼小さくても魅力的ならんちゅうとは

小さくても魅力的ならんちゅうと、単に幼いらんちゅうは、違います。
幼いらんちゅうは、肉瘤の発達が無く、背の峰っけも強く、腹型も未完成です。
体長8cmの魚(幼く見える)
12cmぐらいまで大きくして、とにかく太らせないと
親魚としての貫禄はでない。


一方、小さくても魅力的ならんちゅうは、十分に発達し均整の取れた肉瘤を持ち、
背幅を見せ、ふくよかな腹型を持つ魚です。

体長7cmの魚

このサンプルは、さほど背幅のあるタイプの魚ではないのですが、
充実した肉瘤と腹型で、魅せてくれる魚になっています。


通常、肉瘤を大きくしたり、背幅や腹型を付け、親魚としての風格や貫禄を
見せるようにするには、しっかりと餌を与え、太らせ、体長が10cmを超える
ぐらいには育てていかなければならないと思います。

しかし瘤太郎は、体長7cm程度でも、十分貫禄のある魚を造れるような
血統を創りたいと思っています。

瘤太郎の魚をネットなどの写真でしか見たことが無い人が、実物を見に来た時、
「えっ、こんなに小さいの!」と驚かれることが良くあります。
写真だと比較対象が無いので、大きさがわかりにくいのですが、
魚の完成度から10cm以上はあるだろうと思っておられるのでしょうね。
でも、我が家では7cmあれば大きい方なので、驚かれるのです。

このように、小さくても宇野系らんちゅうの肉瘤や胴造りの良さを楽しめる
血統が作れれば、飼育環境に恵まれてなくても、より多くのらんちゅうを
育てることができ、らんちゅうの個性を楽しむことができます。

餌やりと水換えを繰り返さなくても、のんびりゆっくりと育てていくことが
できるようになります。


そのようならんちゅうが、「小さくても魅力的ならんちゅう」 であり、
そういったらんちゅうを飼う楽しさだと思っています。


▼小さくても魅力的ならんちゅうの育ち方

続きはまたそのうち...

次回は、
そういったらんちゅうは、何歳ぐらいで完成するの?
なぜ、小さくても肉瘤が発達するの?
当歳、二歳、三歳の頃は、どんな飼い方をするの?
というような事を書いてみたいと思います。

2013年11月11日月曜日

宇野系らんちゅうの骨格、背幅

さて、先日の「峰っけ=尾根っけ」の用語解説で、峰っけがどういうものか、わかっていただけたでしょうか?

背出しから尾筒まで、背中のてっぺんが山の尾根や家の屋根のように尖っているような状態のことを峰っけといいます。


峰っけを理解して、なるべく峰っけが無く扁平感のある魚を選んで交配していけば、だんだん背幅のあるらんちゅうが出来ていくと思いますが、今回は、背幅について少し掘り下げて考えてみようと思います。

まずは、イラストを見てください。

宇野系らんちゅうの骨格と背幅の関係(模式図)

上のイラストは、らんちゅうの背出し(頭部と体の境目)のあたりで輪切りにした断面を描いたものです。
青い色は骨を表現しています。中央に背骨があり、背骨から両側に丸く肋骨が伸び、背骨の上には神経棘と呼ばれる骨が伸びています。

肋骨に包まれている部分が内蔵です。

骨の外側に茶色い線で書かれているのが筋肉です。筋肉は、背骨を堺に、上側の筋肉と下側の筋肉に分かれていて、その間の体表に近い部分には血合筋という筋肉もあります。
(実際には、上側・下側というだけでなく、もう少し複雑に分かれているはずですが、らんちゅうのサイズでは、肉眼でははっきり見えませんので、このように表現しています。気になる方は、鯉の洗いでも食べにいって観察してください。)

この中で、背幅や峰っけに影響するのは、上側の筋肉の形状です。
Aは、BやCに比べて肋骨が開いていることもありますが、上側の筋肉が横に厚みを持っているので、BやCに比べて背幅を見せます。
さらに、BとCを比べた場合、肋骨の開き方は同じでが、上側の筋肉の横方向の厚みが違います。
Cは厚みがないため、ナス胴の形になり、背幅を狭くしてしまっているのです。

もう1つイラストを見てください。

背幅のあるらんちゅうの骨格(模式図)

上のイラストのDが、いわゆる「背幅のあるらんちゅう」の断面図です。
Aに比べて、上側の筋肉がより扁平になっていることで、背幅を広くしています。
肋骨の広がり方や下側の筋肉は、ほとんど変わりません。
背骨の位置や神経棘の長さは変わらないのに筋肉が低く(扁平に)なったことで、神経棘は体表ぎりぎりまで迫っていますが、それでも背に峰っけはありませんので、神経棘と峰っけは関係無いと考えるほうが良さそうです。
 では、もう1つおまけで...


Wは...  そう「Wakin(和金)」です(^_^;)

和金は、背びれを持ちます。
背びれには、背びれを支える骨(担鰭骨:たんきこつというらしいです) があり、それを筋肉が包んでいるため、筋肉の形状がより尖ったようになります。
こうなってくると、まさしく「峰ってる、切れそう」という感じになりますね。

らんちゅうの場合、この背びれや担鰭骨が無くなり、世代を重ねるにつれて、筋肉や骨格を変化させ、結果的にDのような形になっていったのだろうと思います。

そして、もう1つ...
らんちゅうの体型を決める重要な要素があります。

それが頭蓋骨の形状です。

らんちゅう(宇野系)と和金の頭蓋骨の比較(模式図)

複雑な曲面を2次元で書いているので、わかりにくいイラストかもしれませんが、
Dは、らんちゅうの頭蓋骨、Wは和金の頭蓋骨の模式図です。
赤い線は、斜め上から見たイメージ、緑は真正面から見たイメージです。

このイラストを見比べてわかるように(わかりにくい?)、らんちゅうの頭蓋骨には、おでこの部分に平らな領域があります。
一方、和金の頭蓋骨は、全体的に紡錘形になっており、らんちゅうのような平らな領域はありません。
更に、和金の頭蓋骨の頭頂部には、垂直尾翼のようなものが立っていて、これが極端な峰っけを演出しているようです。


 瘤太郎は、このらんちゅうの頭蓋骨の平らな部分こそが、背出しの背幅感を演出する一番重要な要素だと考えています。
この部分を、より幅広く、より平らに、より低くしていくことが、背出しを低く抑えた幅広い背幅を持つらんちゅうを作っていくポイントなのではないかと考え、この部分に注目して、選別や種親選びをしています。
 さて、最後にもう1枚。

らんちゅうの骨格(模式図)

横からみた骨格です。
肋骨の後ろのほうを黒くしていますが、それよりも前にある肋骨はそこそこの硬さを持っており、黒い部分の肋骨はとても柔らかくなっています。黒より後ろは、二股になっておらず、一本ずつです。

餌を付けてらんちゅうを造る場合、
・内蔵に脂肪をためる
・筋肉を太らせる
・皮下脂肪をつける
というような効果があると思います。

内臓に脂肪を貯めれば、内臓が肋骨を押し広げ、背骨から下の部分を膨らますことができるでしょう。

皮下脂肪は、あまりつかないようですが、多少のくびれを目立たなくするぐらいの効果はあるでしょう。

骨を成長させて、筋肉を太らせれば、体を大きくすることができるでしょう。

ただ... 筋肉の形状を餌で調整できるとは思いませんから、背幅を極端に調整することはできないと思います。

故に、何世代も交配を繰り返す中で、筋肉がより良い形になる魚を種親として選んでいく必要があるのだろうと思います。

そうやって、形が整えられ、肉瘤も充実するらんちゅうの遺伝子を揃えていくことができれば、無理に大きくしなくても、見応えのあるらんちゅうを作っていくことができると思います。

瘤太郎が目指すらんちゅうは、そういったらんちゅうです。

まだまだ改良途中の会筋 (三歳魚達)
写真ではわかりにくいかもしれませんが
親指ぐらいの長さしかありません 。