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2020年9月14日月曜日

珍しく更紗系の投稿

当飼育場のらんちゅうは、系統的に素赤が多いのですが、瘤太郎は柄モノが嫌いなわけではなく、どちらかというと素赤より柄モノの方が好きです。

今年は、大きめに育てようとピックアップした仔魚たちを色変わりが終わるまでブルーのプラ舟で飼育して、それ以外を真っ黒のFRPで飼育してたのですが、プラ舟をまめに洗いすぎたのか、プラ舟チームは柄モノが多く、1割ほどは真っ白になってしまいました(^_^;)


水換えは良いけど、苔は残しておくべきでしたね。

 真っ白の魚は、素赤や頭が赤い魚に比べて兜巾の上がり方が控えめになります(なぜなのかは知りません)。兜巾のポテンシャルがわかりにくくなるので、種用に残した魚は白になってほしく無いのですが...時すでに遅し。ですね。

 まあ、でも、良い感じの更紗もいまして、ちょっとうれしかったりもします。

左下の魚は、鼻先に色が乗っていないのが寂しいですが、胸鰭と尾びれに赤が差していて綺麗です。

真ん中は、目の下に白が出てしまっていますが上から見たら面かぶりのように見えるようになるかもしれませんね。(これ以上、白の領域が広がらなければ)

でも、胸ビレに色が乗ってないのが残念です。

この真中の魚、背なりがなだらかで、背幅感があります。メス親が背幅の太い魚でしたから、それを受け継いでいるようです。

ちなみに、サイズですが、尾をいれなければジェリービーン程度のサイズです。

協会系だと、色変わりしてれば親指サイズだと思いますけど、うちのは小さいです。



2015年11月3日火曜日

京都筋宇野系らんちゅう 上見でタイプを探る

いつもと同じようなテーマですが、今日撮影した写真の中に、説明しやすそうな3匹が並んでいる写真がありましたのでピックアップしてみました。

まずは、そのまま御覧ください。


表層を泳いでいる3匹。
右側の11時を向いている魚、真ん中で5時を向いている魚、左下で4時を向いている魚です。

オスメス1匹ずつで掛けた同胎に魚です。



補助線を付けてみました。

背幅のライン、背出しのライン、兜巾の土台の形、目の位置です。

その他、補助線を基準にして腹型、頭部の形と長さなどを見ています。

どの魚もまだまだ細く、これから成長とともに太味が増していくと思います。
ただ、この時点でも、魚のタイプは、ある程度見分けることができると思っています。

右の魚は、シルエットが一番細いです。頭部も細長く 目が少し内側に付いています。
この先フンタンや目の下の肉瘤が張り出してくるとは思いますが、奥目な感じのまま成長することと思います。
兜巾が細長く、目の中心を結んだ線(黒い線)に対して後ろよりについているのですが、
こういうタイプは兜巾が上がりに場合が多いように思います。(我が家の筋ではという話ですが)
腹型は、長手のなつめ型ってところでしょうか。(まだ細いのでわからないですけど)
峰っぽいとまでは言いませんが、背の扁平感(背幅感)はあまりなく、この先も背幅感が増してくる可能性は低いと思っています。
キズがなく、尾形が付いていて、もう少し筒が詰まっていれば会用として残すかもしれませんが、いずれハネる魚かもしれません。(我が家はメスが少ないので、オスメスはっきりするまでは残しましが)



中央の魚は、あまり出ない変わった魚です。
胴の作りや頭部の雰囲気は、兜巾タイプなのですが...
良い所は、 背幅の太さと、背出しからしっかり太く出ているところです。
普通、背出しのところは少し細めに出て、胴の真ん中らへんで太くなっていくのですが、
この魚は、背出しの直後と胴の真ん中らへんの太さがあまり変わらないのが特徴です。
背幅と同じく頭蓋骨もしっかりと幅を持ち、目も外側に付いています。

ただ、腹付きの悪さと頭部の様子は、少し気になります。
頭部については、背出しのラインが少し突っ込んでいること、頭部の長さが短いこと、
兜巾が前のめりに付いていることなどです。
全て関連していると思います。
普通、背出しのラインが突っ込み気味の場合、背の出だしが高い(首が高い)場合があるのですが、
この魚、横から見てもさほど高いわけではありません。
となると、首がうつむいて付いている? いや、それほどでも無いんですよね。
この先、どんな魚に成長するのでしょうか...


左下の魚は、良さそうですね。ふっくらした獅子頭タイプの胴に骨格の良い頭が付いています。
背幅は「ひと幅足りない」って感じかもしれませんが、そこそこの背幅感はあります。
ふっくらした腹付きも魅力的です。
背幅は、まっすぐに近く頭部全体の長さもあります。
また、この魚の一番の特徴は、目の位置で頭蓋骨が張り出しているところです。
微妙な感覚なのでなかなかわかりにくいかもしれませんが、
目の位置で頭蓋骨が張り出しているのと、エラ蓋に肉瘤が無いから目が張り出して
見えるのと同じように見えますが違います。
それは、肉瘤の無い黒子の頃に頭蓋骨の形を良く見ていると違うということがわかります。
こういう頭蓋骨の形をしている魚は、兜巾が丸い形にあがることがあります。
丸みのある頭部と、やわらかみのあるふっくらした胴を持つ魚は、無理に餌を付けず
自然体で育ててもバランスの良い宇野系らしい魚に仕上がります。
慌てずゆっくり6歳、7歳 まで育てると、肉瘤も十分に発達し、いかにも京都のらんちゅうと
いう姿を見せてくれると思います。

種魚として使ってみたいのは左下の魚。真ん中は今後あまりにも変な体型にならなければ、試しに使って、良さが遺伝するかどうか確認してみたいですね。

2015年3月1日日曜日

京都筋宇野系らんちゅうの飼育(3月)

3月1日です。

昨日は、関西でも春一番が吹いたとのこと。(結構寒かったんですけど...)

ただ、このところ少し春めいた温かい日もあったので、庭の野梅のつぼみがほころび始めました。


写真は、結構咲いてますが、まだ2分から3分咲きという感じです。

野梅が咲いたら、我が家のらんちゅうもシーズンインです。

天気が良ければ、舟の丸洗いをしたかったのですが、今日は雨が強いので延期します。
でも、これからどんどん日差しが強くなっていくので早めに水換えをしたいですね。

今冬は、舟に波板をかぶせたりして寒さ対策をしたせいか、明け二歳も立鱗になったりせず、
明け三歳以上も順調だったので、結局途中での水換えをしませんでした。
(仕事が忙しくて世話ができなかったというのもありますが...)


順調に立ち上がってくれれば良いのですが...
来週は、必ず水換えしなければ...

晴れますように(願)

2014年9月7日日曜日

兜巾タイプの行き着く先/京都筋宇野系らんちゅうの成長

同胎の兄妹に比べて目先や目幅が無く、胴も丸胴の胡瓜型...
となると、兜巾タイプかな。と期待してしまいますが、
兜巾タイプは、必ずしも肉瘤が発達するとは限りません。
獅子頭やオカメは、それなりに吹いてくるのですが、兜巾型は、
結局、どこもでなかった... なんてこともあったりします。





これら3匹は、いずれも肉瘤の隆起が始まった頃(3歳)は、
兜巾タイプかなあと思ってたのですが、結果は三者三様。

一番上は、シワの多いタイプでした。
でも、背幅感のある魚になりました。

真ん中は、兜巾タイプのようです。大きく高い兜巾を載せて成長中です。

一番下は、残念タイプのようです。結局どこも出ず...ということになりました。
でも、よく見ると、胴の型が兜巾タイプぽくはないですね。

2014年8月25日月曜日

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説(背なり) 

背なりというのは、横から見た時の背中のラインのことで、ラインが良い時は「背なりが美しい」とか「綺麗な背なり」というように表現します。

最近は、宇野系に限らず協会系においても背なりを意識する人が増えてきているようです。

協会系では、背出しから1文字に伸び、腰から尾筒に掛けて適度な丸みを持って下ろすような背なりを好む人が増えているのではないでしょうか。
 さて、イラストを見ながら話を進めたいと思います。


宇野系らんちゅうで、良く見る背なりは、2と4と5です。


1は、一部の愛好家の一部の血統でしか見られないタイプだと思いますが、体高を抑え、フラットな背なりを持つタイプです。
腹も必要以上に丸くなっておらず、とにかく体高がコンパクトです。
この背なりで、骨格と筋肉の形を改良していくと、充実した背幅を持つ魚に仕上がっていきます。

また、首が上向きにつきやすい背なりなので、顔も良くなります。
 ただ、体全体のシルエットを小さく見せてしまう という面もあるので、迫力のある魚を育てようとすると、難しいかもしれません。
そのため、腹型の良い魚を選び、形の良い肉瘤を載せていくようにして見栄えを演出する必要があります。

2は、良く見るタイプの魚です。
背出し(背中と肉瘤の境目)から少し斜め上方向に背が伸び、さほど高くなく適度な丸みをもって筒へと流れていくような背なりです。
バランスの取れた魚に仕上がるタイプが多いです。

3は、首高やゴツと呼ばれる背なりです。へ腰という場合もあるようでうs.
背出しの後ろで、盛り上がったように背が高くなります。
この部分を上から見ると、背幅が付いているように見えますので、上見重視で選別すると、
ついつい残してしまう魚です。
ただ、ゴツがある魚は、成長とともに、その部分がどんどんいびつになっていく場合があります。
瘤太郎は、基本的には残しません。
というよりも、当歳から2歳をスローペースで飼育すると、ゴツになる魚が少ないように思います。


4は、腰高の背なりです。
このタイプが主流となっている宇野系愛好会も多いです。
このタイプは、筒元を太く出しているように見せる魚が多いです。
上見で筒の太い魚を意識して選別していると、良く残ってしまうタイプです。

5は、昔から「柘櫛のような背」として、らんちゅうの基本のように言われてきた背なりです。
吻端部から大きく弧を描くようなラインで、腹側も丸くなっている場合が多く、体高があります。

 6は、背の途中に凹みがある背なりで、軽いものであれば選別でハネずに残す人もいるようです。ただ、このようになる魚は、背骨が湾曲している場合が多いので、瘤太郎は早い段階でハネます。

宇野系の愛好家の会話の中で、時々、「背を抑える」という話が出てくることがありますが、
このように変にへこんでいる魚のことを言うのではなく、1もしくは2のように低く出て素直なラインで腰へとつながるような背なりを、「低く抑えた背」といいます。


最後に、写真を...

「良い魚」として紹介するわけではないです。たまたま手元にあった写真です。

2歳で、頭から尾筒までが100円玉を2つ並べたぐらいです。
基本的には上のイラストでは2に該当する魚ですね。
ただ、4歳、5歳と成長する過程で、体長が伸び、大きな兜巾を乗せてくると、
1に見えるようになる場合もあります。


こちらの写真の魚↓は、1に近いですかね。
ただ、ちょっと腹が垂れてますね。
餌を付けた時に、腹が下へ垂れて膨らんでいるような状況を、
「腹が食い下がっている」 と表現することがありますが、
この魚はそんな感じですね。(実際には餌を食べた直後なんだろうと思いますが)

2014年8月17日日曜日

胴のタイプ~京都筋宇野系らんちゅう

仕事が忙しかったり、雨の日が続いたりで、なかなか魚を見る時間がありません。
水換えの時間を確保できるタイミングがわからないので、餌も控えめになってしまいます...

まあ、品評会に合わせて飼っているわけではないので、ゆっくりでもいいんですけどね。

でも、あまりスローペースで飼っていると、魚のポテンシャルを引き出せなくなりますから、
やっぱりもう少し餌を付けて飼ってやりたいところです。

今、丁度魚が痩せてる(^_^;)ので、逆に肉付きを差し引いた胴の型を見るには良いのかも...

 ということで、1枚写真を載せてみます。


 同胎(1匹のメスが1回の産卵で産んだ卵の子)の子たちです。
獅子頭の筋から出た兜巾系のボディを持つ雌雄を交配して取った魚です。
どの魚も体長(尾は含まない)45mmぐらいです。
120角のFRP舟に40匹ほどで飼育しています。
餌は2日間与えていません。

それぞれ、何となく雰囲気の違う魚ですよね。
 


左上の魚は、エラの後ろからふっくらと丸みを持っていて、腹の重心も後ろよりにある感じです。
現時点では、骨格の幅もそれなりにあるし、柔らかみもあるように見えます。
種向きな魚に育ってくれるといいなあ。という魚です。
胴のタイプとしては獅子頭になると思います。

中央下の魚は、骨格が細いように思います。
柔らかみがあるため、腹幅はそれなりにあるように見えますが、背幅などは細く見えます。
このタイプの魚は、成長に伴って、横へ横へと太く変化していって、だんだんと背幅も増してくる魚になる場合もありますが、変化しなければ、単に峰っぽい柔らかい魚で終わってしまうパターンになります(^_^;)

その上の魚は、腹付きの悪い胡瓜型の胴を持つタイプですね。
エラの下からはらじまいまでズンドウになっており、左上の魚のような横っ腹の軟らかさもありません。
ただ、右端の魚と比べると背幅があるように見えます。いわゆる丸胴に見える魚です。
こういうタイプが兜巾型になる場合があります。
ただ、ちょっと目先(フンタン)が長いかな...
兜巾に仕上がる魚は、もっと目先が短くて丸い感じです。

 右端は、なつめ型の腹形をもつ小判胴の魚です。
特に特長の無い魚というか...まあ、ボディバランスは良くなりそうなので、
綺麗な肉瘤が乗れば、見栄えの良い魚になりそうですね。

本当は、これぐらいの時期で、中央上の魚は、別の舟で少数で飼って、餌やりにメリハリを付けて飼っていくと本物の兜巾タイプなら、綺麗な兜巾を膨隆させていくと思います。


同じ4匹です。
中央やや左したの2匹の背幅間の違い、わかりますか?
一番下の魚(上の写真の左上の魚)は背中という感じがあるのですが、
その上の魚は、背幅感が無く紡錘形にみえるんですよね...
瘤太郎は、下の魚の方が好きです。

左上の魚が上の写真で兜巾タイプかもと書いた魚ですが、この写真で見ると
ツヤの無い薄い色をしているので、兜巾が大きくなるとしてもツルンとした感じには上がらないかもしれませんね。 脳っぽいヒダヒダの多い感じになるかもしれません。
何となくツルンとした水饅頭タイプの大きな兜巾を持つ魚は、ツヤのある鱗質の魚が多いように思います。
実際、この仔達のメス親は形は兜巾タイプで大きな兜巾を載せていますが、肌の艶のないヒダヒダの多い兜巾でした。
以外と右端の魚が、獅子頭にツルンとした綺麗な兜巾を乗せてくるかもしれません。

2014年8月1日金曜日

あえて残す魚


先日、「らんちゅうの型(かた)とは~兜巾頭と獅子頭の型(その1)および(その2)で、型の話をした時に取り上げた写真が、下の写真ですが、さすがにこれだけのスボケだといくら瘤太郎でも普通は早めにはねます。(一部追記 2014.8.9)

特に右側の兜巾タイプの方は、スボケというより歪んでついてますよね。
それでもこの魚を残していたのは、頭の付き方や胴の型がいかにも兜巾タイプっぽかったからだと思います。
タバコの太さぐらいの頃から人差し指ぐらいのサイズになるまでゆっくりと選別で数を減らしていきますが、それぐらいのサイズの頃に既に兜巾タイプの胴の型の魚として見分けられるぐらいの魚だったということなのでしょう。

今のところ、兜巾タイプとして成長していってますし、兜巾もヒダの無いつるんとした肌質の兜巾になっています。
後は、どこまで膨隆するかでこの魚の質が決まるということですね。
来年の秋ぐらい(5歳の秋)に完成するかな...

1つの腹を残すとき、肉瘤が発達する前に、20~50匹ぐらいに減らしてしまうと思いますし、
肉瘤の膨隆が始まったらどうしても肉瘤の上がってる魚を残して、肉瘤の上がってない魚を軽視する傾向が宇野系愛好家にはあると思います。
上の写真の場合、左の魚のような顔つきをしている魚の方が、置いておきたいと思うのではないでしょうか?

でも、兜巾型は、肉瘤の発達が遅いです。
故に、意識して残していかないと、「なんか肉瘤がでてないからいらないや」ということになって
しまいます。
それを防止するために、魚の胴の型を見て、兜巾タイプであれば肉瘤が出てなくても、我慢して残しておかなければならないのだろうと思います。

2014年5月3日土曜日

宇野系らんちゅうの楽しみ方(前掛かりの効いた尾)

らんちゅうの鑑賞のポイントをざっくり分けるとしたら、頭(肉瘤)、形(胴)、尾 、色柄ということになると思いますが、瘤太郎の場合、頭や形が優先で、尾に関してはあまり気にしていません。
そもそも品評会に出品することよりも、良い種親を残すことの方が面白いと思っているので、種親にとって大事なこと(=頭や形)を優先しています。

もちろん「良い種親」は、「良い魚」を産ませるために存在するわけで、「良い魚」は「良い尾」を持っているべきだと思います。
で、あれば、種親も尾を重視しなければならない...と考える必要がありそうなのですが...
瘤太郎の経験では「尾」は、遺伝の振れ幅が大きいパーツですので、尾の悪い親からでも、尾の良い仔がでてきます。(逆にバリバリの尾の親でとっても、ヘロヘロの尾の仔がいたりします)

そのため、種親選びでは、遺伝の振れ幅が小さい「頭」や「形」を優先し、産まれた仔魚の中に、尾の良いのがいたら、ピックアップして会用に育てるというスタイルでやっています。

ちなみに、尾が良いということでピックアップした会用の魚でも、胴や頭の質が良いと思ったら、会用の舟から種用の舟に戻したりします。
 
と...、前置きが長くなりましたが、まあ、宇野系らんちゅうの育種という面では、尾はさほど重要視していないのですが、それでも尾の良し悪しを見分ける眼力は養っておきたいものです。

今日は、選別の時に面白い魚がいたので写真を撮っておきました。


前回の記事と同じ種用の舟に居た仔なのですが、前掛かりの効いた張りの良い尾を持つ仔です。

「前掛かり」とは、尾の一番前の軟条が付け根から少し前に向いて伸び、途中からカーブを描いて後ろに流れる状態を言います。
写真の魚は、矢印の当たりまで前にせり出しているのがわかると思います。

宇野系の場合、必ずしも前掛かりが効いている必要は無いと思うのですが、協会系では品評会に持っていく魚の場合、前掛かりが効いた張りの良い尾を持つことが重視されています。

宇野系でも品評会用の魚を創ることを主眼としている愛好会では、前掛かりの効いた尾を持つ会魚が評価が高いようです。

ちなみに、下の魚(同胎)も開きの良い尾を持つ魚ですが、
あまり綺麗な尾とは言えないように思います。


 なんというか... 単に開き過ぎというか、でかいだけというか...
筒の間延びもアンバランスの原因の1つだと思います。

上の魚も、現時点では、体の大きさに対して少し尾が大きいようですが、
いずれ体が大きくなってきたらバランスが取れ、綺麗な尾を持つ魚になると思います。
しかしながら、下の魚は、あまり良い魚にはならないと思います。
微妙ですが、やっぱり尾形も、ちょっとした良し悪しのポイントのようなものがあるのでしょうね。

小さめの明二歳の宇野系らんちゅうの選別

ゴールデンウィークも後半となりました。
空に浮かぶ雲が夏の雲になりましたね。

今日、明二歳の選別をしがてら写真を撮ったので見てください。


選別後ですが、ハネの方です。
サイズは大きい仔がタバコのフィルターぐらいです。
数が多かったので、さすがに成長が遅かったようです。
少し数を減らすことで、残した魚がぐんと良くなってくれることを期待してます。

この舟は、種用の魚を残せれば良いと考えている舟で、既にある程度の選別を重ねてきていますので、後は、好きではない魚をハネていくことになります。

例えば①は、腹付きが浅い(胴が短いのでハネたのですが、この1匹だけを見ても胴が短いのか尾筒が長いのか良くわからないと思います。
でも、同じ舟の他の魚(同胎)と見比べると、①が単に筒が長いだけでなく、腹が浅いことがわかります。
②は全長や腹の幅は同じぐらいですが、胴は①よりも長いので、①は胴が短いのだ。と判断しました。

瘤太郎は小判型や丸手の魚も好きですが、この血統の魚としては、短すぎるということでハネました。

一方、②は、尾筒に背びれの痕跡のような突起があるのでハネた魚です。
もう少し早めにハネておければ良いんですけどね、パソコン仕事のし過ぎで目が悪いので、未だにこんなのをハネてます(^_^;)

背びれの痕跡は帆立のように1本飛び出しているのや、ほぼ背びれ!っていうぐらい立派なものを持ってる魚もいますが、ほんのすこしだけポチッとニキビのようになってるだけの魚もいます。
下の写真は、別の魚ですが、背と腰の境目ぐらいにポッチがあります。


 矢印(⇒)のところですね。
背の中央にこのようなポッチがある場合は、その下に背びれを支える骨である担鰭骨が
隠れている場合が多いです。
種には使うべきではないと思います。
  

2014年4月29日火曜日

明二歳の宇野系らんちゅう(魚の見分け方)

前回に引き続き明二歳です。


前回の記事の仔達とは別の両親から産まれた仔です。
こちらの腹の方が、少し長手の仔が多いようです。

同じ魚達の別の写真がこちら↓





どれが何番の仔か分かりますか?

どの仔も長さは同じぐらいなので、

背幅、腹形、頭部の形やメの付き方などで見分ける必要があります。

もちろん、スボケが1匹と、

尾がくろそぶになってるのが1匹いるので、

それらはわかりますよね。

残りの4匹は背、腹形、頭部の形などで見分けてください。

こっちよりこっちのほうが背幅がある。とか、
こっちの方が腹付きがふっくらしてるとか...
そういう違いを見分けながら、1匹1匹の個性を理解することができれば、
後は残せる数を考えて残したい魚を残せば良いだけ。ということですね。

この6匹の中で、どれを残すか(どれが好きか)は、人それぞれで良いと思います。

2014年4月28日月曜日

明二歳の宇野系らんちゅう(胴の質を見る)

我が家では、頭と胴がコンタック600のカプセルからタバコのフィルター部分ぐらいの大きさになった頃に、頭骨や胴の雰囲気が良く、ついでに尾型の良い魚を15匹ぐらいピックアップして少し大きめに飼います。
(大きめといっても会用をやってる人からしたら豆粒ですけどね)

そういった魚は、この時期、こちらの写真ぐらいに成長します。



2枚の写真は、同じ3匹を撮影したもので、1枚目の写真の左上の魚が2枚目の真ん中、同じく1枚目の真ん中の魚が2枚目の左、1枚目の右端が2枚目の右端です。

それぞれの魚について、少し解説しておきます。

A)1枚目の左上(2枚目の真ん中)

 背を抑え、首を上向きに付けた質の良い骨格をしています。
吻端の土台が発達しているので顔が四角く見えますが、目幅やおでこも広く、良い魚です。



B)1枚目の真ん中(2枚目の左)

3匹の中では背幅が寂しいですが、腹付きが控えめなので兜巾型の魚かもしれませんね。
目幅、おでこの幅は良いので、兜巾タイプなら良い魚になるでしょう。

C)1枚目の右(2枚目の右)

 水なす型の腹構えを持つ会用魚という感じなので、背幅が寂しくなりやすい型なのですが、
この魚は十分な背幅を持っています。
同胎の水なす型の魚はBの魚ぐらいの背幅が多いのですが、この魚は一見して太いと思わせる背幅を持っている貴重な魚です。


Aは、背幅の充実した柔らかい魚に育っていってくれれば、次世代の本命種親でしょう。
Cは、 会用を採りたい場合の配合に使えそうですね。
Bは、4歳ぐらいまでは吻端も兜巾も出ず、見栄えのしない魚になりそうですが、古魚になってから化けてくれることを楽しみにキープしておく魚って感じですね。

2枚目の写真で、BとCの背幅感を見分けられるようになったら、あなたも胴フェチかも(^_^;)



ちなみに、ピックアップされなかった残りの魚達は、現在これ↑ぐらいのサイズです。
小さいですが、ちゃんと質を見て残しています。
左の魚はBと同じタイプ。真ん中はCに近いタイプで、より背幅が太いです。ただ伸びない(丸手)かもしれません。
右の魚はAに近いのですが、より柔らかみを持つ魚です。
どんな風に育つでしょうね(^_^)

2014年4月27日日曜日

京都筋宇野系らんちゅうの産卵時期

昨日今日と半袖で十分なぐらい暑かったのですが、
先ほどYahooの過去の天気で調べたら昨日の京都南部の最高気温は27度...
今日も25度。暑いわけです...

どの舟も雄魚はしっかり追い星を出しています。
メスの腹はまだそんなに柔らかくは無いですが、しっかり卵を持ってるな。とわかる個体も何匹かいます。

宇野系京都筋らんちゅう種親(オス) 

日中の気温が25度を超え、最低気温が15度ぐらいになってくると、
魚任せでも産卵が始まります。

瘤太郎の家では、明2歳は小さすぎて卵を持つサイズではないので、
産卵は3歳以降になりますが、3歳→4歳→それ以上というように、若い魚から産卵を始めるようです。

私の知人の多くもそうですが、いわゆる協会系のらんちゅう愛好家は12月から親魚を加温し、年が明けるやいなや仔引きをする人が多いようですが、比較的採卵時期の遅い宇野系らんちゅうでも、秋の品評会で当歳魚の出品を考えている人は早くから加温して採卵しているようです。

瘤太郎は基本的には産卵は魚任せです。らんちゅうを飼い始めた頃は、加温して3月に採ったりもしてましたが、のんびり飼うようになってからは、魚が勝手に仕上がって卵を産むまで待ってます。
というか、最初の卵は放卵させ、その20日程度後の大潮の前に、水換えをして魚巣を入れて刺激し、産ませることも多いです。
桜が散る頃からがシーズンになりますが、5月になってから産み出す年の方が多いですね。

ただ、5月は朝の水温が下がるので、ヒーターを入れておかないと、稚魚が一気に溶けるように落ちていくことも多いようです。

朝の最低水温が20度を越えるようになればヒーター無しでも稚魚の歩留まりは良くなってきます。

ときどき水温が高くなってから仔引きをすると奇形が増えるなどといった話を聞くことがありますが、瘤太郎は7月になってから産まれた仔を育てることが多いです。もちろん何の問題もなく育っています。
確かに、小さいまま冬眠することになるので、厳冬期は覆いをかけるなどしないと松かさのような状態になる魚が増えてしまいますが、それさえ気をつけて越冬できれば大丈夫です。

今年採りたいペアです。

上のペア、冬眠前にミスで魚を傷つけてしまったので、鱗が汚くなっているのですが、
何とか回復して元気に泳いでいます。
オスは、これぞ獅子頭というような充実した肉瘤が魅力です。
メスは胴の作りの良い魚で、兜巾も水饅頭様のしっかりした肌質を持っています。
尾はスボケですが、あまり気にしていません。
この2匹は同胎の兄妹です。明2歳で50匹ほど残し、繁殖サイズになった時に20匹ほど残していましたが、胴造りと兜巾の質は、このメスが一番でした。
胴や兜巾(肉瘤)の遺伝子を残すためには、 スボケだからといってハネていては残らないという例の1つですね。
(念のため書いておきますが、協会系の硬い尾は別として、宇野系の尾形であれば、片親がスボケでも大丈夫だと思っています。※この2匹のメス親もスボケでしたが、写真のオスのような綺麗な尾形を持つ魚は沢山居ました。結局は針仔の間の餌の量で尾の開きは随分変わるようです。)

 さてさて。いずれにしてもそろそろ自然産卵もシーズンインですね。
オスがメスを追尾するような行動(追い行動)を見せ始めたら、大潮や雨、水換えなどのきっかけで産むことが多いようです。

皆様もお気に入りのペアで仔引きを楽しんでください。

2014年4月13日日曜日

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説(青水)

宇野系らんちゅうの飼い方の話で良く出てくる言葉が「青水(あおみず)」です。

普通、らんちゅう愛好家の間で青水という場合、植物性プランクトンが大量繁殖し、緑色がかった状態になっている飼育水の事を言います。

水換えをして2週間程度経った飼育水
綺麗な緑色をしています。


青水を透明なコップに掬うとエメラルドグリーンのような色をしているのですが、これは飼育水の中を漂う大量の植物性プランクトンが持つ葉緑素の影響で水そのものが緑色に見えるようになっているためです。(植物プランクトンには緑色以外の色素を持つものもいます)

宇野系らんちゅう愛好家が、青水を意識する理由は、宇野系らんちゅうを青水で飼うと、魚の色が良くなるとか、肉瘤が出やすいなどと言われるためなのですが、実際の所、どこまで影響しているのかは、はっきりとわかっていません。

ただ、冬場(冬眠中)、状態の良い青水で飼われているらんちゅうは、緑色の糞をします(結構な量の糞をします)。
コイ科の魚の中には、好んで藻を食べる種類もいますから、青水中の植物プランクトンを摂取することで、多少の栄養にしているのかもしれませんね。
そういった状態で越冬したらんちゅうは、12月から3月半ばまで餌を切っても、痩せたり肉瘤が小さくなったという印象が無いことは事実です。

さて、では、どの様な青水が良いのか、どの程度水換えをせずに青水で飼うのか。というところが難しいところです。

我が家の飼育水の変化を記録してみたので、それをご紹介します。

水換え直後の飼育水
(全換水後、小さい洗面器1杯分の青水を戻しました)
4日後の飼育水
(緑色が濃くなって濾過器が見えにくくなりました)
10日後の飼育水
(濃い青水になりました。魚もあまり見えません。)

我が家の舟(午前中のみ日が当たる)の場合、大体こんな感じで濃くなって行きます。

但し、青水の進行スピードは、
 ・日光のあたり具合(良くあたるほど早い)
 ・温度(高いほど早い)
 ・魚の収容数(多いほど早い)
 ・餌の種類や与える量(多いほど早い)
などによって変わってきます。

青水飼育の場合も水換えの頻度は、基本的には水の痛み具合で判断すべきですが、
餌をやっているシーズンの場合は、早い人で5日か7日周期、長い人で2週間程度だと思います。
瘤太郎の場合、通常は2週間で、最初の1週間は餌もしっかり与え、8~11日目ぐらいは少し控え目に餌を与え、最後の2日ほどは餌を切って2週間で水を替えます。
ただ、ブクブクの泡がなかなか消えないとか、水の匂いがおかしいとき、あるいは水が濁ってるときなどは、早めに水換えを行うことがあります。

さて、緑色だけど青水なのですが、実は様々な条件で青水の色は変わります。
うっすら白濁するような色の場合は、あまり良い状態ではないと思っていますが、
魚に影響が無い場合の青水の色のバリエーションをご紹介します。


少し茶色がかった青水

青水というよりも赤水?赤潮??
珪藻類が優勢なのかもしれませんね。

最後にアップした赤い水は、海で言えば赤潮の色で、赤潮は魚のエラに詰まって
魚が死ぬと言われますが、我が家の赤水(?)の場合、魚が死ぬようなことは
ありません。普通に健康な状態で泳いでいます。
ただ、やっぱりあまり気持ちのよい色ではないので、全換水して、綺麗な緑色を
している舟の水を入れたりして緑色の青水になるよう調整したりします。

2014年3月22日土曜日

冬眠明け二歳の宇野系らんちゅう

お彼岸となりましたので、我が家も始動です。
日中10度を越える日が多くなってきました。

でも、まだ水は冷たいですね(>_<)
魚を掬うときは、お湯を入れたバケツで手を暖めながらじゃないと無理です...

さて、今日は、冬眠明二歳を掬って撮影してみました。
体長35mm程度です。


1番の魚は、全体の体型のバランスの良い仔ですね。
まず、頭部の長さ、胴の長さ、筒の長さと下ろし方を見た時に、調度良いぐらいの比率になっていると思います。
目幅と背幅があり、腹形も良く、腹から筒に掛けてスムーズにつながっているので、しっかりした太さを見せる魚になりそうです。
こういうタイプは、魚任せで育てていっても、バランスのとれた体型に育っていく会向けの魚だと思います。
3番や5番の仔は、1番に比べると、尾筒が長くて下ろし方がゆるいので、腹から尾に掛けて間延び感があります。

2番の 魚は、エラの直後(というかエラの内側)から丸みのある腹のラインが特徴的な仔です。
魚を上から見た時の腹のシルエットのラインが丸みを持っているということなのですが、5匹の中では、2番だけが丸みがあります。(微妙な差ですが)

では、問題。

下の5匹の中で、上の2番の魚がどれか、腹のラインを見てわかりますか?

答えは...

右下の仔ですね。

2番のように、全体のシルエットは細いけど、エラから腹にかけてのラインに丸みを見せる魚を、「柔らかい魚」と言うことがあります。
らんちゅうは、 ある時期(我が家では4歳頃)に頭蓋骨がぐっと幅を増す時期があるのですが、
柔らかい魚は、その時に、背幅もぐっと広がって見えるようになることがあります。

硬い魚は、体の成長を体高方向に持って行ってしまいますが、柔らかい魚は、体の成長を横方向に広げてくれるのです。
ですので、瘤太郎は、種に使う魚は柔らかい方が良い(特にメス)。と考えています。ただし、柔らかい魚は、全体のシルエットを細く見せる魚が多いです。(腹だけぼってり見せるような洋なし型の腹形)
柔らかい魚は、餌をつけすぎるとブヨブヨになっていきますから、ある程度魚の成長を見ながら餌をコントロールしていかなければなりません。
そんな飼い方をしていると、柔らかい魚が仕上がるのは4歳の秋か5歳になってからです。
親としての資質を見極めるには、そこまで待たないといけないということです。
種筋には柔らかい親、会筋には硬めの親を使うのも、そういった考えに基づいています。
(柔らかい魚もじっくり育てれば、6歳、7歳で会に出品することは可能ですけどね)


3番と4番は似たようなタイプですが、4番は背出しの少し後ろから背が高く盛り上がっていますね。
3番はすっとスムーズな背をしていると思います。
どちらも上から見ての判断(写真だけの判断)なのですが、わかりますか?

3番は、鼻先から腹じまいまでは雰囲気の良い魚ですが、筒伸びがあり、尾付けのあたりで少ししゃくれてますね。後、尾が少し大きすぎるかな。
「筒から後ろを隠したら良い魚なのになあ」 なんてボヤいてしまう魚ですね。
胴や肉瘤を重視する場合、尾筒や尾はあまり気にしない人もいます。瘤太郎もさほど気にしませんが、2世代続けて、同じような問題を持つ魚を親に選ばないといったようなことは気にしています。

4番は、背出しの幅があるので、背を抑えていたらもっと背幅を見せていたと思います。
残念ですね。背が途中から盛り上がる魚は、見かけの背幅を太くすることがありますが、
神経棘が長くなっていたり、筋肉の形が悪い、あるいは背骨が奇形...など、何らかの不都合があるはずですから、種には使いたくないと考えています。
この仔については、尾のビビリがひどくならないなら会用になるかな...

さて、上見ではわかりにくい話が続いたので、ここで別の写真を...

きっちり確認しているわけではないですが、多分番号はあってると思います。
アングルが悪くて2番の筒のシャクレはわからないですね(^_^;)

4番と5番の背が盛り上がってるのがわかりますか?
このわずかな盛り上がりを上見で判断できるかどうか...
実際は、分からないはずなのですが、4番なんかは、その血統の平均と照らしあわせて
考えると、これだけ背出しの幅があれば、もっと背幅が太く見えるはずなのに...
という違和感を感じるんですよね。
でも背幅があまり太く見えない...
なので、背が持っているんじゃないか?と疑うわけです。
後は、背の鱗にかかる微妙な陰影で、横から見た時の背のカーブの丸みを想像したりして、
背の高さを見抜いています。
だから、我が家の見慣れた血統の魚なら、上見の写真だけである程度の横見の姿を想像できるのですが、知らない血統の魚だとそうは行きません。

さて、最後に5番ですが、腹の硬そうなスッとした魚という印象です。
たまたま体勢が少し頭を下げるような格好になっているかもしれませんが、
背出しのVが深いですよね。
4番も5番も背が盛り上がっているのですが、4番は、背出しまでは低いです。
それに比べて5番は背出しから高くでています。
ここも微妙な違いですが、読み取っておくべき違いです。

この5番のようなタイプは、兜巾型になってくれるなら置いておくけど、
そうでなければ、「背に嫌な肉を盛る魚」という評価になってしまいます。
兜巾型でも背を抑えたタイプは出てきますので、上見でのシルエットが5番と同じように腹付きが控えめな兜巾型の胴造りをしていて、背を抑えた魚が他にいれば、この魚は種用として期待するのはやめて、会用に仕立てていくことになると思います。
ただ、会用に仕立てる場合は、尾のビビリが強いので、兜巾ブリブリにして、「わ~凄い兜巾」って感じで驚かせる魚になるよう、餌を強めにしていくことになるのでしょうね。

こんな感じで、まだ35mmの小さな魚ですが、それなりに先行きを見通したりしています。
そうじゃないと、なんでもかんでも残さなきゃならなくなりますからねえ。

2014年3月12日水曜日

小さくても魅力的な宇野系らんちゅうを創る


魚と一緒に瘤太郎も冬眠状態でしたが、先日、いくつかの舟を
水換えしたので、久しぶりに...

今年も大ごとになるような舟は無く、無事越冬してくれたみたいです。
とはいえ我が家の当歳は極端に小さいので、寒さと古水で松かさになって
しまう魚もいるのですが、全換水の後、治ればそれで良しとします。


ちなみに、冬眠明けの水換えも一気に全換水です。
コケだらけの舟もクリーニングするので、ピカピカです。
水合わせは舟から古水のまま退避させた洗面器に
浄水器を通した水道水をちょろちょろと注ぐ程度です。


よく、全換水すると調子を崩すといいますが、我が家は、
エラを含めて病気らしい病気はしないので、水合わせだけで十分です。
 なぜ、大丈夫なのかの説明は、またの機会にして、

今日は、魚のサイズ(というより小さく飼うこと)について少し...


さて、我が家の冬眠明けの当歳が、どの程度小さいかと言うと、
一番小さい舟だと

こんな感じ。
左下の排水弁の白い部分 が500円玉ぐらいなので、
小ささがわかってもらえると思います(^_^;)

協会系の魚なら、60日あれば、これより大きくなってますよね(^_^;)


らんちゅうは多様であるからこそ面白いと言っているように、
瘤太郎は、大きならんちゅうも好きです。
日本らんちゅう協会の品評会に行くと、「洗面器に入れるのは無茶でしょ!」
と言いたくなるようなサイズのらんちゅうがいますが、凄いですよね。

餌やって水換えて選別して、餌やって水換えて選別して...
その作業を繰り返していくことで、どんどん大きくしていくのですが、
瘤太郎は、時間的にも経済的にも飼育環境的にも、そういった飼育は無理です。

それに、胴の造りや肉瘤の質も楽しみたいと思っているので、ある程度の数の魚を、
ある程度大きくなるまで残して置かなければなりません。
選別で早々と数を減らすというようなことができないんです。

そんなこんなで、大きく飼うのは無理だな... と悟ったんです。

だから、小さく飼っている。というのが本音です。


そして、小さくしか飼えないなら、小さくても魅力的ならんちゅうを創りたい。と、
思うようになったんです。



▼小さくても魅力的ならんちゅうとは

小さくても魅力的ならんちゅうと、単に幼いらんちゅうは、違います。
幼いらんちゅうは、肉瘤の発達が無く、背の峰っけも強く、腹型も未完成です。
体長8cmの魚(幼く見える)
12cmぐらいまで大きくして、とにかく太らせないと
親魚としての貫禄はでない。


一方、小さくても魅力的ならんちゅうは、十分に発達し均整の取れた肉瘤を持ち、
背幅を見せ、ふくよかな腹型を持つ魚です。

体長7cmの魚

このサンプルは、さほど背幅のあるタイプの魚ではないのですが、
充実した肉瘤と腹型で、魅せてくれる魚になっています。


通常、肉瘤を大きくしたり、背幅や腹型を付け、親魚としての風格や貫禄を
見せるようにするには、しっかりと餌を与え、太らせ、体長が10cmを超える
ぐらいには育てていかなければならないと思います。

しかし瘤太郎は、体長7cm程度でも、十分貫禄のある魚を造れるような
血統を創りたいと思っています。

瘤太郎の魚をネットなどの写真でしか見たことが無い人が、実物を見に来た時、
「えっ、こんなに小さいの!」と驚かれることが良くあります。
写真だと比較対象が無いので、大きさがわかりにくいのですが、
魚の完成度から10cm以上はあるだろうと思っておられるのでしょうね。
でも、我が家では7cmあれば大きい方なので、驚かれるのです。

このように、小さくても宇野系らんちゅうの肉瘤や胴造りの良さを楽しめる
血統が作れれば、飼育環境に恵まれてなくても、より多くのらんちゅうを
育てることができ、らんちゅうの個性を楽しむことができます。

餌やりと水換えを繰り返さなくても、のんびりゆっくりと育てていくことが
できるようになります。


そのようならんちゅうが、「小さくても魅力的ならんちゅう」 であり、
そういったらんちゅうを飼う楽しさだと思っています。


▼小さくても魅力的ならんちゅうの育ち方

続きはまたそのうち...

次回は、
そういったらんちゅうは、何歳ぐらいで完成するの?
なぜ、小さくても肉瘤が発達するの?
当歳、二歳、三歳の頃は、どんな飼い方をするの?
というような事を書いてみたいと思います。

2013年11月11日月曜日

宇野系らんちゅうの骨格、背幅

さて、先日の「峰っけ=尾根っけ」の用語解説で、峰っけがどういうものか、わかっていただけたでしょうか?

背出しから尾筒まで、背中のてっぺんが山の尾根や家の屋根のように尖っているような状態のことを峰っけといいます。


峰っけを理解して、なるべく峰っけが無く扁平感のある魚を選んで交配していけば、だんだん背幅のあるらんちゅうが出来ていくと思いますが、今回は、背幅について少し掘り下げて考えてみようと思います。

まずは、イラストを見てください。

宇野系らんちゅうの骨格と背幅の関係(模式図)

上のイラストは、らんちゅうの背出し(頭部と体の境目)のあたりで輪切りにした断面を描いたものです。
青い色は骨を表現しています。中央に背骨があり、背骨から両側に丸く肋骨が伸び、背骨の上には神経棘と呼ばれる骨が伸びています。

肋骨に包まれている部分が内蔵です。

骨の外側に茶色い線で書かれているのが筋肉です。筋肉は、背骨を堺に、上側の筋肉と下側の筋肉に分かれていて、その間の体表に近い部分には血合筋という筋肉もあります。
(実際には、上側・下側というだけでなく、もう少し複雑に分かれているはずですが、らんちゅうのサイズでは、肉眼でははっきり見えませんので、このように表現しています。気になる方は、鯉の洗いでも食べにいって観察してください。)

この中で、背幅や峰っけに影響するのは、上側の筋肉の形状です。
Aは、BやCに比べて肋骨が開いていることもありますが、上側の筋肉が横に厚みを持っているので、BやCに比べて背幅を見せます。
さらに、BとCを比べた場合、肋骨の開き方は同じでが、上側の筋肉の横方向の厚みが違います。
Cは厚みがないため、ナス胴の形になり、背幅を狭くしてしまっているのです。

もう1つイラストを見てください。

背幅のあるらんちゅうの骨格(模式図)

上のイラストのDが、いわゆる「背幅のあるらんちゅう」の断面図です。
Aに比べて、上側の筋肉がより扁平になっていることで、背幅を広くしています。
肋骨の広がり方や下側の筋肉は、ほとんど変わりません。
背骨の位置や神経棘の長さは変わらないのに筋肉が低く(扁平に)なったことで、神経棘は体表ぎりぎりまで迫っていますが、それでも背に峰っけはありませんので、神経棘と峰っけは関係無いと考えるほうが良さそうです。
 では、もう1つおまけで...


Wは...  そう「Wakin(和金)」です(^_^;)

和金は、背びれを持ちます。
背びれには、背びれを支える骨(担鰭骨:たんきこつというらしいです) があり、それを筋肉が包んでいるため、筋肉の形状がより尖ったようになります。
こうなってくると、まさしく「峰ってる、切れそう」という感じになりますね。

らんちゅうの場合、この背びれや担鰭骨が無くなり、世代を重ねるにつれて、筋肉や骨格を変化させ、結果的にDのような形になっていったのだろうと思います。

そして、もう1つ...
らんちゅうの体型を決める重要な要素があります。

それが頭蓋骨の形状です。

らんちゅう(宇野系)と和金の頭蓋骨の比較(模式図)

複雑な曲面を2次元で書いているので、わかりにくいイラストかもしれませんが、
Dは、らんちゅうの頭蓋骨、Wは和金の頭蓋骨の模式図です。
赤い線は、斜め上から見たイメージ、緑は真正面から見たイメージです。

このイラストを見比べてわかるように(わかりにくい?)、らんちゅうの頭蓋骨には、おでこの部分に平らな領域があります。
一方、和金の頭蓋骨は、全体的に紡錘形になっており、らんちゅうのような平らな領域はありません。
更に、和金の頭蓋骨の頭頂部には、垂直尾翼のようなものが立っていて、これが極端な峰っけを演出しているようです。


 瘤太郎は、このらんちゅうの頭蓋骨の平らな部分こそが、背出しの背幅感を演出する一番重要な要素だと考えています。
この部分を、より幅広く、より平らに、より低くしていくことが、背出しを低く抑えた幅広い背幅を持つらんちゅうを作っていくポイントなのではないかと考え、この部分に注目して、選別や種親選びをしています。
 さて、最後にもう1枚。

らんちゅうの骨格(模式図)

横からみた骨格です。
肋骨の後ろのほうを黒くしていますが、それよりも前にある肋骨はそこそこの硬さを持っており、黒い部分の肋骨はとても柔らかくなっています。黒より後ろは、二股になっておらず、一本ずつです。

餌を付けてらんちゅうを造る場合、
・内蔵に脂肪をためる
・筋肉を太らせる
・皮下脂肪をつける
というような効果があると思います。

内臓に脂肪を貯めれば、内臓が肋骨を押し広げ、背骨から下の部分を膨らますことができるでしょう。

皮下脂肪は、あまりつかないようですが、多少のくびれを目立たなくするぐらいの効果はあるでしょう。

骨を成長させて、筋肉を太らせれば、体を大きくすることができるでしょう。

ただ... 筋肉の形状を餌で調整できるとは思いませんから、背幅を極端に調整することはできないと思います。

故に、何世代も交配を繰り返す中で、筋肉がより良い形になる魚を種親として選んでいく必要があるのだろうと思います。

そうやって、形が整えられ、肉瘤も充実するらんちゅうの遺伝子を揃えていくことができれば、無理に大きくしなくても、見応えのあるらんちゅうを作っていくことができると思います。

瘤太郎が目指すらんちゅうは、そういったらんちゅうです。

まだまだ改良途中の会筋 (三歳魚達)
写真ではわかりにくいかもしれませんが
親指ぐらいの長さしかありません 。

2013年11月4日月曜日

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説(峰っけ)

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説では、瘤太郎が色々な方から教わった、らんちゅう独特の表現を解説していこうという試みです。
瘤太郎の解釈ですので、愛好会や飼われておられる系統などで、違った解釈をする場合もあると思いますので、その辺りはご了承ください。
(所属する愛好会で違う解釈をしておられる場合は、そちらの解釈を優先された方が良いと思います。)


何からでも良いのですが、今日は「峰っけ(みねっけ)」について書いてみます。


らんちゅうの峰っけとは、峰不二子のような妖艶な魅力を持つことです。


なんていうのは、冗談です。



峰っけの「峰」は山の峰か、刀などの峰の意味で使われていると思います。


しかし...


山の場合、峰(みね)は、峰(ほう)とも読むように、頂上の事をいいます。


らんちゅうとして、峰といっている場合、背の中央に頭部から尾筒にかけて
現れる「尾根」 を言っていることがほとんどです。

尾根は、「山の峰と峰とを結んで高く連なる所。(デジタル大辞泉)」や「稜線」という
意味ですから、峰とは違いますよね。

らんちゅうの背に、尾根のような線が見えることを「峰っけ」と言っているのですが、
山に例えて使うなら「尾根っけ」なんです。


ところで、峰っけのキツイ魚を見た時、「峰っけがすごいね... 切れそう...」と表現する人がいます。

こういった表現をするからには、切れる=刀 をイメージしていると考えた方が良いのでしょうか。

さて、言葉の意味合いについてはこれぐらいにしておいて...
実際の写真を見てみましょう。


上の写真は、親魚サイズですが、峰っけが強く出た魚の写真です。

補助線を引いた写真と見比べてください。


緑色の線の部分が尾根のように尖って見えるために「峰っけ」といいます。

青い線のあたりの断面をイメージしたものが下のイラストです。



左側の青い線で書いた断面が、上の魚の青いラインの部分の断面です。
右側のオレンジ色の線で書いた断面が、峰っけの少ない魚をイメージした断面です。

左側の断面の上のほうが、山の尾根のように尖っていますよね。これが尾根(峰)たる所以です。

泳いでいる魚を見ながらこのような断面をイメージし、背の部分に丸みが無くて尾根のように尖った形になっていると見なせる場合に、「この魚は峰っけがある」あるいは「峰っけが強い」といいます。
ときどき、緑の線の部分に、環境光を反射した白い光の線があるのを見て、峰っけがあるという人がいますが、イラストのオレンジのほう(峰っけのない方)の魚でも、環境光の差し込み方や見る方向(写真を撮る方向)によっては、光の筋が出ることがあります。
峰っけのある魚のほうが、光の線がシャープにでる傾向はありますが、光の線があるからといって峰っけがあると考えるのは不適切です。

2次元の写真から立体を読み取るのは難しいですが、横っ腹からのラインや、尾筒の形、頭部の形状など、様々な情報を読み取って断面をイメージすることができるようになれば、峰っけの有無を正確に読み取ることができるようになりますので、日頃から意識してみてください。


で...


らんちゅうは、背幅があるほうが良いとされています。

背幅の考え方も色々とありますが、瘤太郎は、断面の曲線が水平から30度の接線との接点の内側を背幅と考えています。
側線が背幅とか、目幅が背幅という考え方はしていません。
絵にしてみるなら、以下の様な感じです。


緑の線が、30度の接線ですので、紫色の縦線の間が背幅ということになります。
まあ、特に根拠は無く、人間の背中と脇腹の境目もそんな感じじゃないの?ってぐらいの考えなんですけどね(^_^;)

このイラストだと側線の位置はもっと下の方ですよね。緑の線の下端のもう一つ下の太い目盛線ぐらいの高さにあるんじゃないでしょうか。
そこを背幅とすると、瘤太郎の考える背幅よりももっと背幅があることになります。

まあ、どこからどこまでを背幅というかは、人それぞれだと思いますが、いずれにせよ同じ尺度で考えた場合、峰っけのある魚は、相対的に背幅が無いということになると思います。

だから、胴の質を重視する人は、峰っけを嫌う人が多いのです。

逆に、峰っけがあると華奢に見えますので、丸手の型の可愛い魚を追う場合、あえて峰を見せることで、可愛い雰囲気を演出することができるとは思います。
しかし、そうは言っても目幅の無い魚だけは作って欲しくないなあというのが、瘤太郎の気持ちです。

らんちゅうは、目幅があってふくよかな肉瘤の付いた丸い(四角い)顔を持っていてこそらんちゅうだと思います。
目幅がなく尖った顔だと、なんきんか、まるこになっちゃいます... よね...

ところで、最初の写真の魚ですが、親魚サイズなんです。

随分前の写真です。今の我が家にはこういう背を持つ魚は居ません。
普通、当歳から2歳(我が家では2歳で親指サイズです)の頃までは、峰っけが目立つ魚も居ますが、親になるにつれ肉と油が付いて峰っけは収まってくるものです。
逆に親魚になって肉と油が付いてからでは、先天的な峰っけの有無がわかりにくくなります。
背幅のある筋を作っていきたい場合は、峰っけがわかりやすい二歳頃までに、峰っけの強い魚を淘汰していくようにする必要があるのかもしれませんね。

なぜ、峰っけが出るのかについても書いてみたいのですが、それは用語解説の範疇ではなくなるので、また別の記事として-