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2015年11月3日火曜日

京都筋宇野系らんちゅう 上見でタイプを探る

いつもと同じようなテーマですが、今日撮影した写真の中に、説明しやすそうな3匹が並んでいる写真がありましたのでピックアップしてみました。

まずは、そのまま御覧ください。


表層を泳いでいる3匹。
右側の11時を向いている魚、真ん中で5時を向いている魚、左下で4時を向いている魚です。

オスメス1匹ずつで掛けた同胎に魚です。



補助線を付けてみました。

背幅のライン、背出しのライン、兜巾の土台の形、目の位置です。

その他、補助線を基準にして腹型、頭部の形と長さなどを見ています。

どの魚もまだまだ細く、これから成長とともに太味が増していくと思います。
ただ、この時点でも、魚のタイプは、ある程度見分けることができると思っています。

右の魚は、シルエットが一番細いです。頭部も細長く 目が少し内側に付いています。
この先フンタンや目の下の肉瘤が張り出してくるとは思いますが、奥目な感じのまま成長することと思います。
兜巾が細長く、目の中心を結んだ線(黒い線)に対して後ろよりについているのですが、
こういうタイプは兜巾が上がりに場合が多いように思います。(我が家の筋ではという話ですが)
腹型は、長手のなつめ型ってところでしょうか。(まだ細いのでわからないですけど)
峰っぽいとまでは言いませんが、背の扁平感(背幅感)はあまりなく、この先も背幅感が増してくる可能性は低いと思っています。
キズがなく、尾形が付いていて、もう少し筒が詰まっていれば会用として残すかもしれませんが、いずれハネる魚かもしれません。(我が家はメスが少ないので、オスメスはっきりするまでは残しましが)



中央の魚は、あまり出ない変わった魚です。
胴の作りや頭部の雰囲気は、兜巾タイプなのですが...
良い所は、 背幅の太さと、背出しからしっかり太く出ているところです。
普通、背出しのところは少し細めに出て、胴の真ん中らへんで太くなっていくのですが、
この魚は、背出しの直後と胴の真ん中らへんの太さがあまり変わらないのが特徴です。
背幅と同じく頭蓋骨もしっかりと幅を持ち、目も外側に付いています。

ただ、腹付きの悪さと頭部の様子は、少し気になります。
頭部については、背出しのラインが少し突っ込んでいること、頭部の長さが短いこと、
兜巾が前のめりに付いていることなどです。
全て関連していると思います。
普通、背出しのラインが突っ込み気味の場合、背の出だしが高い(首が高い)場合があるのですが、
この魚、横から見てもさほど高いわけではありません。
となると、首がうつむいて付いている? いや、それほどでも無いんですよね。
この先、どんな魚に成長するのでしょうか...


左下の魚は、良さそうですね。ふっくらした獅子頭タイプの胴に骨格の良い頭が付いています。
背幅は「ひと幅足りない」って感じかもしれませんが、そこそこの背幅感はあります。
ふっくらした腹付きも魅力的です。
背幅は、まっすぐに近く頭部全体の長さもあります。
また、この魚の一番の特徴は、目の位置で頭蓋骨が張り出しているところです。
微妙な感覚なのでなかなかわかりにくいかもしれませんが、
目の位置で頭蓋骨が張り出しているのと、エラ蓋に肉瘤が無いから目が張り出して
見えるのと同じように見えますが違います。
それは、肉瘤の無い黒子の頃に頭蓋骨の形を良く見ていると違うということがわかります。
こういう頭蓋骨の形をしている魚は、兜巾が丸い形にあがることがあります。
丸みのある頭部と、やわらかみのあるふっくらした胴を持つ魚は、無理に餌を付けず
自然体で育ててもバランスの良い宇野系らしい魚に仕上がります。
慌てずゆっくり6歳、7歳 まで育てると、肉瘤も十分に発達し、いかにも京都のらんちゅうと
いう姿を見せてくれると思います。

種魚として使ってみたいのは左下の魚。真ん中は今後あまりにも変な体型にならなければ、試しに使って、良さが遺伝するかどうか確認してみたいですね。

2015年11月1日日曜日

その後、4週間(動画を追加しました)

前回のアップの前に、久しぶりに水換えをしてから4週間。

その後、控えめに餌をやっていました。

多少、ふっくらもしてきた様子。

種用三歳 




ちゃんと世話をしていれば、もう少しコブも出ていたとは思いますが、
今年は、ほとんど世話ができなかったので、まあ、元気でいてくれただけでありがたいです。

どの魚も背出しが深いですね。
「背出しがまっすぐ」という話と「背出しの深い」というのは、また違う話で、首が上向きに付いているという指標にもなるので、私は好評価の材料としています。

ただ、頭が長く見えるので、よほど目幅が無いと、細く見えるようになってしまいますね。

左上の魚や右端の魚は、 背出しの深さに加えて十分な目幅を持っていますね。
目幅だけでなく頭蓋骨後端(おでこの後ろ?)も十分に幅を持っているので、背幅感もあります。
成長とともに目下の肉瘤が張り出してくれば、見応えのある魚になりそうです。
背出しが深いとどうしても兜巾の土台が長方形になるので、兜巾もしっかり膨隆してほしいところです。(兜巾が出なければ、顔が整わないと思います。)

左下の魚は、他の魚に比べると目幅が寂しい気もしますが、胴の雰囲気が良いように思います。
全体のシルエットを見た時に、エラ下のすぐ後ろ(エラ下)の胴の出始めの横幅が変に張りすぎず、すっきりと胴が出始め、腹じまいにかけてゆったりと膨らんでいます。(硬さが無いなんて言ったりします。)
先に説明した2匹などは、エラ下からパンと張っているので、なんとなくだらしない感じ。っていうのかな...
で、現段階では、左上や右端の魚の方が背幅感はあるのですが、左下の魚の持ち前の柔らかさが先々発揮されると、ぐっと背幅を増してくる時期が来るんですよね。(来るか来ないかはまだわかりませんけど)
そうすると、背幅感が格段にアップして腹付きも良い感じの魚になったりします。



種用2歳
こちらは、二歳魚です。
同じく、餌を与えられなかったので、当歳の冬と変わってないかも...

頭の形が独特ですね。
目の後ろが張り出していて、エラでまたギュッと絞られてるって感じです。

こういう魚って、独特の背幅感を出すことがあるらしいのですが、この魚もなんとなく
背出し部分の背幅感がしっかりしている印象です。

種用2歳

上の2歳を同胎の魚と一緒に撮影した写真です。上の仔は、左中段で
9時方向を向いている仔です。
頭の形が違いますよね。(目が斜めに出っ張ってついてるだけって気もしますが)

背幅感も他の同胎に比べて少し違うようです。
左したの仔も背幅感の良い魚ですね。
この腹は、全体的に柔らかくて体型が壊れやすい魚が多いようです。
餌の量に気をつけて、じっくり大きくしていかなければなりませんね。
(え、ああ、今年の私の育て方では、小さすぎますけど...)


と、まあ、今年は、世話ができず、結局品評会もほとんど行けなかったので、
一人品評会みたいな感じでしたが、そもそも会用は人にあげることが多いので、
残ってないし...
一人勉強会ですね。

まあ、こういった楽しみな魚が残ってくれただけで十分ということにしておきます。


随分寒くなってきましたけど、もう少し餌、付けられるかな。

2014年9月7日日曜日

兜巾タイプの行き着く先/京都筋宇野系らんちゅうの成長

同胎の兄妹に比べて目先や目幅が無く、胴も丸胴の胡瓜型...
となると、兜巾タイプかな。と期待してしまいますが、
兜巾タイプは、必ずしも肉瘤が発達するとは限りません。
獅子頭やオカメは、それなりに吹いてくるのですが、兜巾型は、
結局、どこもでなかった... なんてこともあったりします。





これら3匹は、いずれも肉瘤の隆起が始まった頃(3歳)は、
兜巾タイプかなあと思ってたのですが、結果は三者三様。

一番上は、シワの多いタイプでした。
でも、背幅感のある魚になりました。

真ん中は、兜巾タイプのようです。大きく高い兜巾を載せて成長中です。

一番下は、残念タイプのようです。結局どこも出ず...ということになりました。
でも、よく見ると、胴の型が兜巾タイプぽくはないですね。

若い魚の先行き(成長途中の兜巾2)/京都筋宇野系らんちゅう

兜巾筋の兜巾と思われる若魚の写真です。

前回の魚に比べて、胴の方が、兜巾タイプっぽいのと、目先・目下の張り出しが控えめなところも兜巾タイプっぽい感じです。
筒伸びとスボケは、兜巾の遺伝子を残すためには、まったくどうでも良い要素なので、気にしてません。もちろん、尾形が良いに越したことはありませんけどね。
でも、普通、よほど甘い選別をしてても、このスボケだったら、間違いなく枝豆サイズまでにはハネてますよね。

アップで撮ってみました。
 兜巾の膨隆が始まっています。
前端部は少し丸みを帯びていて、後端部が幅広になって角張った四角にでている。
これが、膨隆を始めた頃の兜巾タイプの兜巾の特徴的な形です。

しかし...

現時点でこうだからといって、立派な兜巾を持つ魚に仕上がるとは限りません(^_^;)

まあ、タイプから言うと出てきてくれるとは思ってますが、どうなるでしょうね。

2014年9月1日月曜日

若い魚の先行き(成長途中の兜巾)/京都筋宇野系らんちゅう

兜巾筋の舟に居る獅子頭タイプの魚の写真です。


全長70mmで、まだ幼さの残る魚ですが、
良い顔になりそうな雰囲気です。

尾はどうしようも無いですが、胴は、水ナス型で癖の無い胴をしています。
やや峰っけがあるので、背幅感の感じられない胴ではあります。

目先(フンタン)も良く伸びており、目下(がわ)の張り出しも立派です。兜巾が大きく、膨隆感があります。
兜巾の肌質もそこそこです。(兄妹の兜巾タイプの魚はもっと水まんじゅうのような肌質をしています。

同じ魚の別アングルです。
この写真だとわかりやすいのですが、兜巾が四角く幅広です。
で、瘤太郎が注目しているのは、兜巾の前の方より後ろの方が幅が広い点です。
代を重ねる毎に兜巾が小さくなっていくような継ぎ方をしている場合、兜巾が小さくなる過程で
兜巾の後ろ側の幅が狭くなり、台形のような形になっていることが多いように思います。
よって、兜巾の後ろのほうが幅が広い兜巾は、大事にしたいと考えています。

もう1枚、今度は同じ魚の横見です。
現時点でもそこそこに高さのある兜巾を乗せていますが、兜巾の前の斜面が斜めになだらかに下がっているので、膨隆感が感じられない造りになってしまっています。
横面は、適度なくびれがあるので、その部分で膨隆感を演出してるってことですね。
今後、兜巾の前側にくびれ感が付くように成長していけば、抜群の顔つきを持つ魚に仕上がっていくと思います。 


ちなみに...  背なりですが...

背の真ん中で少しいびつにもりあがっている部分がありますね。(わずかですが)

これが峰っぽさの原因になっているのかもしれません。


緑の線を参考にしていただければ、いびつに出っ張っていると言っている部分が
わかるかと思います。
まあ、これぐらいのいびつさなら、種を選ぶときでもあまり気にしませんけどね。




2014年8月17日日曜日

胴のタイプ~京都筋宇野系らんちゅう

仕事が忙しかったり、雨の日が続いたりで、なかなか魚を見る時間がありません。
水換えの時間を確保できるタイミングがわからないので、餌も控えめになってしまいます...

まあ、品評会に合わせて飼っているわけではないので、ゆっくりでもいいんですけどね。

でも、あまりスローペースで飼っていると、魚のポテンシャルを引き出せなくなりますから、
やっぱりもう少し餌を付けて飼ってやりたいところです。

今、丁度魚が痩せてる(^_^;)ので、逆に肉付きを差し引いた胴の型を見るには良いのかも...

 ということで、1枚写真を載せてみます。


 同胎(1匹のメスが1回の産卵で産んだ卵の子)の子たちです。
獅子頭の筋から出た兜巾系のボディを持つ雌雄を交配して取った魚です。
どの魚も体長(尾は含まない)45mmぐらいです。
120角のFRP舟に40匹ほどで飼育しています。
餌は2日間与えていません。

それぞれ、何となく雰囲気の違う魚ですよね。
 


左上の魚は、エラの後ろからふっくらと丸みを持っていて、腹の重心も後ろよりにある感じです。
現時点では、骨格の幅もそれなりにあるし、柔らかみもあるように見えます。
種向きな魚に育ってくれるといいなあ。という魚です。
胴のタイプとしては獅子頭になると思います。

中央下の魚は、骨格が細いように思います。
柔らかみがあるため、腹幅はそれなりにあるように見えますが、背幅などは細く見えます。
このタイプの魚は、成長に伴って、横へ横へと太く変化していって、だんだんと背幅も増してくる魚になる場合もありますが、変化しなければ、単に峰っぽい柔らかい魚で終わってしまうパターンになります(^_^;)

その上の魚は、腹付きの悪い胡瓜型の胴を持つタイプですね。
エラの下からはらじまいまでズンドウになっており、左上の魚のような横っ腹の軟らかさもありません。
ただ、右端の魚と比べると背幅があるように見えます。いわゆる丸胴に見える魚です。
こういうタイプが兜巾型になる場合があります。
ただ、ちょっと目先(フンタン)が長いかな...
兜巾に仕上がる魚は、もっと目先が短くて丸い感じです。

 右端は、なつめ型の腹形をもつ小判胴の魚です。
特に特長の無い魚というか...まあ、ボディバランスは良くなりそうなので、
綺麗な肉瘤が乗れば、見栄えの良い魚になりそうですね。

本当は、これぐらいの時期で、中央上の魚は、別の舟で少数で飼って、餌やりにメリハリを付けて飼っていくと本物の兜巾タイプなら、綺麗な兜巾を膨隆させていくと思います。


同じ4匹です。
中央やや左したの2匹の背幅間の違い、わかりますか?
一番下の魚(上の写真の左上の魚)は背中という感じがあるのですが、
その上の魚は、背幅感が無く紡錘形にみえるんですよね...
瘤太郎は、下の魚の方が好きです。

左上の魚が上の写真で兜巾タイプかもと書いた魚ですが、この写真で見ると
ツヤの無い薄い色をしているので、兜巾が大きくなるとしてもツルンとした感じには上がらないかもしれませんね。 脳っぽいヒダヒダの多い感じになるかもしれません。
何となくツルンとした水饅頭タイプの大きな兜巾を持つ魚は、ツヤのある鱗質の魚が多いように思います。
実際、この仔達のメス親は形は兜巾タイプで大きな兜巾を載せていますが、肌の艶のないヒダヒダの多い兜巾でした。
以外と右端の魚が、獅子頭にツルンとした綺麗な兜巾を乗せてくるかもしれません。

2014年8月1日金曜日

あえて残す魚


先日、「らんちゅうの型(かた)とは~兜巾頭と獅子頭の型(その1)および(その2)で、型の話をした時に取り上げた写真が、下の写真ですが、さすがにこれだけのスボケだといくら瘤太郎でも普通は早めにはねます。(一部追記 2014.8.9)

特に右側の兜巾タイプの方は、スボケというより歪んでついてますよね。
それでもこの魚を残していたのは、頭の付き方や胴の型がいかにも兜巾タイプっぽかったからだと思います。
タバコの太さぐらいの頃から人差し指ぐらいのサイズになるまでゆっくりと選別で数を減らしていきますが、それぐらいのサイズの頃に既に兜巾タイプの胴の型の魚として見分けられるぐらいの魚だったということなのでしょう。

今のところ、兜巾タイプとして成長していってますし、兜巾もヒダの無いつるんとした肌質の兜巾になっています。
後は、どこまで膨隆するかでこの魚の質が決まるということですね。
来年の秋ぐらい(5歳の秋)に完成するかな...

1つの腹を残すとき、肉瘤が発達する前に、20~50匹ぐらいに減らしてしまうと思いますし、
肉瘤の膨隆が始まったらどうしても肉瘤の上がってる魚を残して、肉瘤の上がってない魚を軽視する傾向が宇野系愛好家にはあると思います。
上の写真の場合、左の魚のような顔つきをしている魚の方が、置いておきたいと思うのではないでしょうか?

でも、兜巾型は、肉瘤の発達が遅いです。
故に、意識して残していかないと、「なんか肉瘤がでてないからいらないや」ということになって
しまいます。
それを防止するために、魚の胴の型を見て、兜巾タイプであれば肉瘤が出てなくても、我慢して残しておかなければならないのだろうと思います。

2014年7月28日月曜日

らんちゅうの型(かた)とは ~兜巾頭と獅子頭の型(その2)~

肉瘤の上がり方を胴の型で予想する...

普通に考えると関係無いだろうと思うような話ですが、
肉瘤の上がりの良い筋を維持しておられる方の池を見せてもらうと、
この法則が成り立つ場合が多いです。

肉瘤の型と胴の型をセットで考えるメリットは、

1)肉瘤の型と胴の型が一致することで、バランスの取れた魚に仕上がる。

2)胴の型が違うと、餌の与え方が同じでも仕上がり方が違うので、胴の型に合わせて
  餌やりを調整することが可能になる。

3)兜巾頭は肉瘤の発達が遅くなりがちだが、胴の型で見分けておけば、
  こいつは兜巾型だからもう少し待ってみるか...という判断ができる。
  #いつまで経っても上がらない個体も居ますが(^_^;)

と、言ったようなところです。

例えば、兜巾頭型と獅子頭型では、獅子頭型の方が少ない餌で仕上がることが
多いようです。
言い換えると、獅子頭型は餌を付け過ぎると壊れる(腹が出すぎる)ことが多いです。
そのため、獅子頭型と兜巾頭型を同じ舟で飼っていると、獅子頭型が崩れないように
ついつい餌をセーブしてしまいます。
そうすると、兜巾頭型は、その量では足りず、身体も仕上がらず、肉瘤も充実しづらくなります。


そこで、胴の型を見て、兜巾頭型の胴を持つ魚を別に分けることができれば、兜巾頭型の魚にあった餌を与えることができるということです。



さて、兜巾頭型と獅子頭型の胴の型をイラストで表現してみました。


左の獅子頭が胴の後ろ半分が張り出す水なす型の胴を持っているのに対して、
右の兜巾頭は胴の前半分も後ろ半分もさほど太さが変わらないキュウリ型やナツメ型の
胴を持っています。
そして、兜巾頭型は、腹幅が狭い分、背幅の割合が広く見えることから、
単体で見ると、広い背幅を持つ丸胴に見える傾向があります。
胴の側面には柔らかい感じは少なく、パンパンに張っているという印象を持つ
個体が多いです。

兜巾頭型が出る血統の魚を飼育している人は、同じ胎の中で、胴の型を見比べてみて、
キュウリ型・ナツメ型の丸胴っぽい個体がいたら兜巾頭型の魚かもしれない。と思って、
大事にしてくださいね。
数匹に1匹ぐらいは、ぽってりぷるんとした見事な兜巾を乗せる魚に仕上がるかも
しれませんよ。

2014年7月27日日曜日

らんちゅうの型(かた)とは ~兜巾頭と獅子頭の型~

今回もまず写真から。


少しピンぼけですが、同胎(同じ親から同じ時に採った卵の中の2匹)です。
ずっと同じ舟で飼育してきて、全長もほぼ同じです。
今、4歳かな?(多分)
尾を見れば分かる通り会用に残した魚ではありません。


この2匹で、獅子頭(ししがしら)の体型と兜巾頭(ときんがしら)の体型の
説明ができそうなので、写真に撮ってみました。

ちなみにこの子達の親は、メスは獅子頭系統の獅子頭。
オスは兜巾頭系統の獅子頭でした。
もちろん両親とも宇野系らんちゅうですが、血は少し遠い(10代ぐらい前に共通の
祖先が居る程度)です。

左の子は、獅子頭になるタイプです。
目下や吻端の肉瘤が膨らんできているのがわかると思います。
右の子は、兜巾頭になるタイプです。
左の子に比べて目下や吻端の肉瘤の発達が乏しく、兜巾の土台も小さいです。

顔つきがこの程度まではっきりしてくれば、顔つき(肉瘤の付き方)だけで獅子と
兜巾を見分けることができると思いますが、これをもっと早い段階で見分けるには、
胴の形の違いに注目して見分ける必要があります。

左の子の胴の断面は、水入り風船をボテッと置いたような感じで、横っ腹が横に張り出して
いて、背出しよりも腹じまいに掛けて水ナス型に膨らんでいっています。
これに対して、右の子の胴は、パンパンになったハムのように背出しから腹じまいに
掛けての変化が無く、ズンドウのようになっています。
(微妙な違いなので見分けるのは難しいと思いますが)

この体型の違いは、肉瘤が発達する前から同じですので、獅子タイプと兜巾タイプを
区別するときに役に立ちます。
(もちろん、兜巾体型なのに獅子になったりすることもありますが、その場合、何となく
バランスの悪い魚に仕上がっていくと思います。)

2014年5月6日火曜日

宇野系らんちゅうの顔と肉瘤のあれこれ

小さな明二歳の記事が続いたので、今日は迫力のある写真を見ていただきたいと思います。
水換えがてら撮影した我が家の会用血統の写真です。

全て同胎の兄妹で、体長(口先から尾筒の先まで)60~70mm程度です。
兜巾の形や側(がわ:目の下、ほっぺた)の肉瘤の形が色々なのでご覧ください。

左:獅子頭・なつめ型、目下の肉瘤の張り出しが良い
右:獅子頭、水なす型、兜巾がフンタンに流れている



左上:獅子頭・水なす型、目下のスッキリしたタイプ
中央:龍頭・水なす型
右下: 獅子頭・水なす型、丸兜巾、胴が良い


面更紗
左右は龍頭気味、中央は兜巾タイプ


少し龍頭ぎみの獅子頭


スッキリした顔立ちの面更紗
ベタ赤のヒレが美しい
面更紗としては背幅を見せる


兜巾タイプの(ほぼ)面かぶり
こちらもベタ赤のヒレが美しい


どの魚も魅力的な顔をしてますでしょ(^_^)

吻端(フンタン)の飛び出し具合はどの魚も同じような感じですが、側(がわ)の張り出し具合や兜巾の形は色々ですよね。

獅子頭、兜巾頭、龍頭、おかめ頭...  全て揃ってるんじゃないでしょうかねえ(^_^;)

とある宇野系の魚を1ペア導入してから4世代兄妹掛けを繰り返し、ようやくイメージに近い仔を出せるようになってきました。

とは言え、肉瘤、目幅、首の付き方、背幅、腹形、尾筒などのパーツが、全て種親として納得できるレベルに揃っているのは、ほんの数匹です。
 綺麗な尾を持つ魚だけを選別してしまっていたら、 余程の幸運の持ち主で無い限りそんな魚は残らないでしょうね。

なので、瘤太郎は種親用は尾を一切構わずに選別を行っています。

2014年5月3日土曜日

宇野系らんちゅうの楽しみ方(前掛かりの効いた尾)

らんちゅうの鑑賞のポイントをざっくり分けるとしたら、頭(肉瘤)、形(胴)、尾 、色柄ということになると思いますが、瘤太郎の場合、頭や形が優先で、尾に関してはあまり気にしていません。
そもそも品評会に出品することよりも、良い種親を残すことの方が面白いと思っているので、種親にとって大事なこと(=頭や形)を優先しています。

もちろん「良い種親」は、「良い魚」を産ませるために存在するわけで、「良い魚」は「良い尾」を持っているべきだと思います。
で、あれば、種親も尾を重視しなければならない...と考える必要がありそうなのですが...
瘤太郎の経験では「尾」は、遺伝の振れ幅が大きいパーツですので、尾の悪い親からでも、尾の良い仔がでてきます。(逆にバリバリの尾の親でとっても、ヘロヘロの尾の仔がいたりします)

そのため、種親選びでは、遺伝の振れ幅が小さい「頭」や「形」を優先し、産まれた仔魚の中に、尾の良いのがいたら、ピックアップして会用に育てるというスタイルでやっています。

ちなみに、尾が良いということでピックアップした会用の魚でも、胴や頭の質が良いと思ったら、会用の舟から種用の舟に戻したりします。
 
と...、前置きが長くなりましたが、まあ、宇野系らんちゅうの育種という面では、尾はさほど重要視していないのですが、それでも尾の良し悪しを見分ける眼力は養っておきたいものです。

今日は、選別の時に面白い魚がいたので写真を撮っておきました。


前回の記事と同じ種用の舟に居た仔なのですが、前掛かりの効いた張りの良い尾を持つ仔です。

「前掛かり」とは、尾の一番前の軟条が付け根から少し前に向いて伸び、途中からカーブを描いて後ろに流れる状態を言います。
写真の魚は、矢印の当たりまで前にせり出しているのがわかると思います。

宇野系の場合、必ずしも前掛かりが効いている必要は無いと思うのですが、協会系では品評会に持っていく魚の場合、前掛かりが効いた張りの良い尾を持つことが重視されています。

宇野系でも品評会用の魚を創ることを主眼としている愛好会では、前掛かりの効いた尾を持つ会魚が評価が高いようです。

ちなみに、下の魚(同胎)も開きの良い尾を持つ魚ですが、
あまり綺麗な尾とは言えないように思います。


 なんというか... 単に開き過ぎというか、でかいだけというか...
筒の間延びもアンバランスの原因の1つだと思います。

上の魚も、現時点では、体の大きさに対して少し尾が大きいようですが、
いずれ体が大きくなってきたらバランスが取れ、綺麗な尾を持つ魚になると思います。
しかしながら、下の魚は、あまり良い魚にはならないと思います。
微妙ですが、やっぱり尾形も、ちょっとした良し悪しのポイントのようなものがあるのでしょうね。

2014年4月29日火曜日

明二歳の宇野系らんちゅう(魚の見分け方)

前回に引き続き明二歳です。


前回の記事の仔達とは別の両親から産まれた仔です。
こちらの腹の方が、少し長手の仔が多いようです。

同じ魚達の別の写真がこちら↓





どれが何番の仔か分かりますか?

どの仔も長さは同じぐらいなので、

背幅、腹形、頭部の形やメの付き方などで見分ける必要があります。

もちろん、スボケが1匹と、

尾がくろそぶになってるのが1匹いるので、

それらはわかりますよね。

残りの4匹は背、腹形、頭部の形などで見分けてください。

こっちよりこっちのほうが背幅がある。とか、
こっちの方が腹付きがふっくらしてるとか...
そういう違いを見分けながら、1匹1匹の個性を理解することができれば、
後は残せる数を考えて残したい魚を残せば良いだけ。ということですね。

この6匹の中で、どれを残すか(どれが好きか)は、人それぞれで良いと思います。

2014年4月28日月曜日

明二歳の宇野系らんちゅう(胴の質を見る)

我が家では、頭と胴がコンタック600のカプセルからタバコのフィルター部分ぐらいの大きさになった頃に、頭骨や胴の雰囲気が良く、ついでに尾型の良い魚を15匹ぐらいピックアップして少し大きめに飼います。
(大きめといっても会用をやってる人からしたら豆粒ですけどね)

そういった魚は、この時期、こちらの写真ぐらいに成長します。



2枚の写真は、同じ3匹を撮影したもので、1枚目の写真の左上の魚が2枚目の真ん中、同じく1枚目の真ん中の魚が2枚目の左、1枚目の右端が2枚目の右端です。

それぞれの魚について、少し解説しておきます。

A)1枚目の左上(2枚目の真ん中)

 背を抑え、首を上向きに付けた質の良い骨格をしています。
吻端の土台が発達しているので顔が四角く見えますが、目幅やおでこも広く、良い魚です。



B)1枚目の真ん中(2枚目の左)

3匹の中では背幅が寂しいですが、腹付きが控えめなので兜巾型の魚かもしれませんね。
目幅、おでこの幅は良いので、兜巾タイプなら良い魚になるでしょう。

C)1枚目の右(2枚目の右)

 水なす型の腹構えを持つ会用魚という感じなので、背幅が寂しくなりやすい型なのですが、
この魚は十分な背幅を持っています。
同胎の水なす型の魚はBの魚ぐらいの背幅が多いのですが、この魚は一見して太いと思わせる背幅を持っている貴重な魚です。


Aは、背幅の充実した柔らかい魚に育っていってくれれば、次世代の本命種親でしょう。
Cは、 会用を採りたい場合の配合に使えそうですね。
Bは、4歳ぐらいまでは吻端も兜巾も出ず、見栄えのしない魚になりそうですが、古魚になってから化けてくれることを楽しみにキープしておく魚って感じですね。

2枚目の写真で、BとCの背幅感を見分けられるようになったら、あなたも胴フェチかも(^_^;)



ちなみに、ピックアップされなかった残りの魚達は、現在これ↑ぐらいのサイズです。
小さいですが、ちゃんと質を見て残しています。
左の魚はBと同じタイプ。真ん中はCに近いタイプで、より背幅が太いです。ただ伸びない(丸手)かもしれません。
右の魚はAに近いのですが、より柔らかみを持つ魚です。
どんな風に育つでしょうね(^_^)

2014年3月22日土曜日

冬眠明け二歳の宇野系らんちゅう

お彼岸となりましたので、我が家も始動です。
日中10度を越える日が多くなってきました。

でも、まだ水は冷たいですね(>_<)
魚を掬うときは、お湯を入れたバケツで手を暖めながらじゃないと無理です...

さて、今日は、冬眠明二歳を掬って撮影してみました。
体長35mm程度です。


1番の魚は、全体の体型のバランスの良い仔ですね。
まず、頭部の長さ、胴の長さ、筒の長さと下ろし方を見た時に、調度良いぐらいの比率になっていると思います。
目幅と背幅があり、腹形も良く、腹から筒に掛けてスムーズにつながっているので、しっかりした太さを見せる魚になりそうです。
こういうタイプは、魚任せで育てていっても、バランスのとれた体型に育っていく会向けの魚だと思います。
3番や5番の仔は、1番に比べると、尾筒が長くて下ろし方がゆるいので、腹から尾に掛けて間延び感があります。

2番の 魚は、エラの直後(というかエラの内側)から丸みのある腹のラインが特徴的な仔です。
魚を上から見た時の腹のシルエットのラインが丸みを持っているということなのですが、5匹の中では、2番だけが丸みがあります。(微妙な差ですが)

では、問題。

下の5匹の中で、上の2番の魚がどれか、腹のラインを見てわかりますか?

答えは...

右下の仔ですね。

2番のように、全体のシルエットは細いけど、エラから腹にかけてのラインに丸みを見せる魚を、「柔らかい魚」と言うことがあります。
らんちゅうは、 ある時期(我が家では4歳頃)に頭蓋骨がぐっと幅を増す時期があるのですが、
柔らかい魚は、その時に、背幅もぐっと広がって見えるようになることがあります。

硬い魚は、体の成長を体高方向に持って行ってしまいますが、柔らかい魚は、体の成長を横方向に広げてくれるのです。
ですので、瘤太郎は、種に使う魚は柔らかい方が良い(特にメス)。と考えています。ただし、柔らかい魚は、全体のシルエットを細く見せる魚が多いです。(腹だけぼってり見せるような洋なし型の腹形)
柔らかい魚は、餌をつけすぎるとブヨブヨになっていきますから、ある程度魚の成長を見ながら餌をコントロールしていかなければなりません。
そんな飼い方をしていると、柔らかい魚が仕上がるのは4歳の秋か5歳になってからです。
親としての資質を見極めるには、そこまで待たないといけないということです。
種筋には柔らかい親、会筋には硬めの親を使うのも、そういった考えに基づいています。
(柔らかい魚もじっくり育てれば、6歳、7歳で会に出品することは可能ですけどね)


3番と4番は似たようなタイプですが、4番は背出しの少し後ろから背が高く盛り上がっていますね。
3番はすっとスムーズな背をしていると思います。
どちらも上から見ての判断(写真だけの判断)なのですが、わかりますか?

3番は、鼻先から腹じまいまでは雰囲気の良い魚ですが、筒伸びがあり、尾付けのあたりで少ししゃくれてますね。後、尾が少し大きすぎるかな。
「筒から後ろを隠したら良い魚なのになあ」 なんてボヤいてしまう魚ですね。
胴や肉瘤を重視する場合、尾筒や尾はあまり気にしない人もいます。瘤太郎もさほど気にしませんが、2世代続けて、同じような問題を持つ魚を親に選ばないといったようなことは気にしています。

4番は、背出しの幅があるので、背を抑えていたらもっと背幅を見せていたと思います。
残念ですね。背が途中から盛り上がる魚は、見かけの背幅を太くすることがありますが、
神経棘が長くなっていたり、筋肉の形が悪い、あるいは背骨が奇形...など、何らかの不都合があるはずですから、種には使いたくないと考えています。
この仔については、尾のビビリがひどくならないなら会用になるかな...

さて、上見ではわかりにくい話が続いたので、ここで別の写真を...

きっちり確認しているわけではないですが、多分番号はあってると思います。
アングルが悪くて2番の筒のシャクレはわからないですね(^_^;)

4番と5番の背が盛り上がってるのがわかりますか?
このわずかな盛り上がりを上見で判断できるかどうか...
実際は、分からないはずなのですが、4番なんかは、その血統の平均と照らしあわせて
考えると、これだけ背出しの幅があれば、もっと背幅が太く見えるはずなのに...
という違和感を感じるんですよね。
でも背幅があまり太く見えない...
なので、背が持っているんじゃないか?と疑うわけです。
後は、背の鱗にかかる微妙な陰影で、横から見た時の背のカーブの丸みを想像したりして、
背の高さを見抜いています。
だから、我が家の見慣れた血統の魚なら、上見の写真だけである程度の横見の姿を想像できるのですが、知らない血統の魚だとそうは行きません。

さて、最後に5番ですが、腹の硬そうなスッとした魚という印象です。
たまたま体勢が少し頭を下げるような格好になっているかもしれませんが、
背出しのVが深いですよね。
4番も5番も背が盛り上がっているのですが、4番は、背出しまでは低いです。
それに比べて5番は背出しから高くでています。
ここも微妙な違いですが、読み取っておくべき違いです。

この5番のようなタイプは、兜巾型になってくれるなら置いておくけど、
そうでなければ、「背に嫌な肉を盛る魚」という評価になってしまいます。
兜巾型でも背を抑えたタイプは出てきますので、上見でのシルエットが5番と同じように腹付きが控えめな兜巾型の胴造りをしていて、背を抑えた魚が他にいれば、この魚は種用として期待するのはやめて、会用に仕立てていくことになると思います。
ただ、会用に仕立てる場合は、尾のビビリが強いので、兜巾ブリブリにして、「わ~凄い兜巾」って感じで驚かせる魚になるよう、餌を強めにしていくことになるのでしょうね。

こんな感じで、まだ35mmの小さな魚ですが、それなりに先行きを見通したりしています。
そうじゃないと、なんでもかんでも残さなきゃならなくなりますからねえ。

2013年11月11日月曜日

宇野系らんちゅうの骨格、背幅

さて、先日の「峰っけ=尾根っけ」の用語解説で、峰っけがどういうものか、わかっていただけたでしょうか?

背出しから尾筒まで、背中のてっぺんが山の尾根や家の屋根のように尖っているような状態のことを峰っけといいます。


峰っけを理解して、なるべく峰っけが無く扁平感のある魚を選んで交配していけば、だんだん背幅のあるらんちゅうが出来ていくと思いますが、今回は、背幅について少し掘り下げて考えてみようと思います。

まずは、イラストを見てください。

宇野系らんちゅうの骨格と背幅の関係(模式図)

上のイラストは、らんちゅうの背出し(頭部と体の境目)のあたりで輪切りにした断面を描いたものです。
青い色は骨を表現しています。中央に背骨があり、背骨から両側に丸く肋骨が伸び、背骨の上には神経棘と呼ばれる骨が伸びています。

肋骨に包まれている部分が内蔵です。

骨の外側に茶色い線で書かれているのが筋肉です。筋肉は、背骨を堺に、上側の筋肉と下側の筋肉に分かれていて、その間の体表に近い部分には血合筋という筋肉もあります。
(実際には、上側・下側というだけでなく、もう少し複雑に分かれているはずですが、らんちゅうのサイズでは、肉眼でははっきり見えませんので、このように表現しています。気になる方は、鯉の洗いでも食べにいって観察してください。)

この中で、背幅や峰っけに影響するのは、上側の筋肉の形状です。
Aは、BやCに比べて肋骨が開いていることもありますが、上側の筋肉が横に厚みを持っているので、BやCに比べて背幅を見せます。
さらに、BとCを比べた場合、肋骨の開き方は同じでが、上側の筋肉の横方向の厚みが違います。
Cは厚みがないため、ナス胴の形になり、背幅を狭くしてしまっているのです。

もう1つイラストを見てください。

背幅のあるらんちゅうの骨格(模式図)

上のイラストのDが、いわゆる「背幅のあるらんちゅう」の断面図です。
Aに比べて、上側の筋肉がより扁平になっていることで、背幅を広くしています。
肋骨の広がり方や下側の筋肉は、ほとんど変わりません。
背骨の位置や神経棘の長さは変わらないのに筋肉が低く(扁平に)なったことで、神経棘は体表ぎりぎりまで迫っていますが、それでも背に峰っけはありませんので、神経棘と峰っけは関係無いと考えるほうが良さそうです。
 では、もう1つおまけで...


Wは...  そう「Wakin(和金)」です(^_^;)

和金は、背びれを持ちます。
背びれには、背びれを支える骨(担鰭骨:たんきこつというらしいです) があり、それを筋肉が包んでいるため、筋肉の形状がより尖ったようになります。
こうなってくると、まさしく「峰ってる、切れそう」という感じになりますね。

らんちゅうの場合、この背びれや担鰭骨が無くなり、世代を重ねるにつれて、筋肉や骨格を変化させ、結果的にDのような形になっていったのだろうと思います。

そして、もう1つ...
らんちゅうの体型を決める重要な要素があります。

それが頭蓋骨の形状です。

らんちゅう(宇野系)と和金の頭蓋骨の比較(模式図)

複雑な曲面を2次元で書いているので、わかりにくいイラストかもしれませんが、
Dは、らんちゅうの頭蓋骨、Wは和金の頭蓋骨の模式図です。
赤い線は、斜め上から見たイメージ、緑は真正面から見たイメージです。

このイラストを見比べてわかるように(わかりにくい?)、らんちゅうの頭蓋骨には、おでこの部分に平らな領域があります。
一方、和金の頭蓋骨は、全体的に紡錘形になっており、らんちゅうのような平らな領域はありません。
更に、和金の頭蓋骨の頭頂部には、垂直尾翼のようなものが立っていて、これが極端な峰っけを演出しているようです。


 瘤太郎は、このらんちゅうの頭蓋骨の平らな部分こそが、背出しの背幅感を演出する一番重要な要素だと考えています。
この部分を、より幅広く、より平らに、より低くしていくことが、背出しを低く抑えた幅広い背幅を持つらんちゅうを作っていくポイントなのではないかと考え、この部分に注目して、選別や種親選びをしています。
 さて、最後にもう1枚。

らんちゅうの骨格(模式図)

横からみた骨格です。
肋骨の後ろのほうを黒くしていますが、それよりも前にある肋骨はそこそこの硬さを持っており、黒い部分の肋骨はとても柔らかくなっています。黒より後ろは、二股になっておらず、一本ずつです。

餌を付けてらんちゅうを造る場合、
・内蔵に脂肪をためる
・筋肉を太らせる
・皮下脂肪をつける
というような効果があると思います。

内臓に脂肪を貯めれば、内臓が肋骨を押し広げ、背骨から下の部分を膨らますことができるでしょう。

皮下脂肪は、あまりつかないようですが、多少のくびれを目立たなくするぐらいの効果はあるでしょう。

骨を成長させて、筋肉を太らせれば、体を大きくすることができるでしょう。

ただ... 筋肉の形状を餌で調整できるとは思いませんから、背幅を極端に調整することはできないと思います。

故に、何世代も交配を繰り返す中で、筋肉がより良い形になる魚を種親として選んでいく必要があるのだろうと思います。

そうやって、形が整えられ、肉瘤も充実するらんちゅうの遺伝子を揃えていくことができれば、無理に大きくしなくても、見応えのあるらんちゅうを作っていくことができると思います。

瘤太郎が目指すらんちゅうは、そういったらんちゅうです。

まだまだ改良途中の会筋 (三歳魚達)
写真ではわかりにくいかもしれませんが
親指ぐらいの長さしかありません 。

2013年11月4日月曜日

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説(峰っけ)

瘤太郎的・宇野系らんちゅうの用語解説では、瘤太郎が色々な方から教わった、らんちゅう独特の表現を解説していこうという試みです。
瘤太郎の解釈ですので、愛好会や飼われておられる系統などで、違った解釈をする場合もあると思いますので、その辺りはご了承ください。
(所属する愛好会で違う解釈をしておられる場合は、そちらの解釈を優先された方が良いと思います。)


何からでも良いのですが、今日は「峰っけ(みねっけ)」について書いてみます。


らんちゅうの峰っけとは、峰不二子のような妖艶な魅力を持つことです。


なんていうのは、冗談です。



峰っけの「峰」は山の峰か、刀などの峰の意味で使われていると思います。


しかし...


山の場合、峰(みね)は、峰(ほう)とも読むように、頂上の事をいいます。


らんちゅうとして、峰といっている場合、背の中央に頭部から尾筒にかけて
現れる「尾根」 を言っていることがほとんどです。

尾根は、「山の峰と峰とを結んで高く連なる所。(デジタル大辞泉)」や「稜線」という
意味ですから、峰とは違いますよね。

らんちゅうの背に、尾根のような線が見えることを「峰っけ」と言っているのですが、
山に例えて使うなら「尾根っけ」なんです。


ところで、峰っけのキツイ魚を見た時、「峰っけがすごいね... 切れそう...」と表現する人がいます。

こういった表現をするからには、切れる=刀 をイメージしていると考えた方が良いのでしょうか。

さて、言葉の意味合いについてはこれぐらいにしておいて...
実際の写真を見てみましょう。


上の写真は、親魚サイズですが、峰っけが強く出た魚の写真です。

補助線を引いた写真と見比べてください。


緑色の線の部分が尾根のように尖って見えるために「峰っけ」といいます。

青い線のあたりの断面をイメージしたものが下のイラストです。



左側の青い線で書いた断面が、上の魚の青いラインの部分の断面です。
右側のオレンジ色の線で書いた断面が、峰っけの少ない魚をイメージした断面です。

左側の断面の上のほうが、山の尾根のように尖っていますよね。これが尾根(峰)たる所以です。

泳いでいる魚を見ながらこのような断面をイメージし、背の部分に丸みが無くて尾根のように尖った形になっていると見なせる場合に、「この魚は峰っけがある」あるいは「峰っけが強い」といいます。
ときどき、緑の線の部分に、環境光を反射した白い光の線があるのを見て、峰っけがあるという人がいますが、イラストのオレンジのほう(峰っけのない方)の魚でも、環境光の差し込み方や見る方向(写真を撮る方向)によっては、光の筋が出ることがあります。
峰っけのある魚のほうが、光の線がシャープにでる傾向はありますが、光の線があるからといって峰っけがあると考えるのは不適切です。

2次元の写真から立体を読み取るのは難しいですが、横っ腹からのラインや、尾筒の形、頭部の形状など、様々な情報を読み取って断面をイメージすることができるようになれば、峰っけの有無を正確に読み取ることができるようになりますので、日頃から意識してみてください。


で...


らんちゅうは、背幅があるほうが良いとされています。

背幅の考え方も色々とありますが、瘤太郎は、断面の曲線が水平から30度の接線との接点の内側を背幅と考えています。
側線が背幅とか、目幅が背幅という考え方はしていません。
絵にしてみるなら、以下の様な感じです。


緑の線が、30度の接線ですので、紫色の縦線の間が背幅ということになります。
まあ、特に根拠は無く、人間の背中と脇腹の境目もそんな感じじゃないの?ってぐらいの考えなんですけどね(^_^;)

このイラストだと側線の位置はもっと下の方ですよね。緑の線の下端のもう一つ下の太い目盛線ぐらいの高さにあるんじゃないでしょうか。
そこを背幅とすると、瘤太郎の考える背幅よりももっと背幅があることになります。

まあ、どこからどこまでを背幅というかは、人それぞれだと思いますが、いずれにせよ同じ尺度で考えた場合、峰っけのある魚は、相対的に背幅が無いということになると思います。

だから、胴の質を重視する人は、峰っけを嫌う人が多いのです。

逆に、峰っけがあると華奢に見えますので、丸手の型の可愛い魚を追う場合、あえて峰を見せることで、可愛い雰囲気を演出することができるとは思います。
しかし、そうは言っても目幅の無い魚だけは作って欲しくないなあというのが、瘤太郎の気持ちです。

らんちゅうは、目幅があってふくよかな肉瘤の付いた丸い(四角い)顔を持っていてこそらんちゅうだと思います。
目幅がなく尖った顔だと、なんきんか、まるこになっちゃいます... よね...

ところで、最初の写真の魚ですが、親魚サイズなんです。

随分前の写真です。今の我が家にはこういう背を持つ魚は居ません。
普通、当歳から2歳(我が家では2歳で親指サイズです)の頃までは、峰っけが目立つ魚も居ますが、親になるにつれ肉と油が付いて峰っけは収まってくるものです。
逆に親魚になって肉と油が付いてからでは、先天的な峰っけの有無がわかりにくくなります。
背幅のある筋を作っていきたい場合は、峰っけがわかりやすい二歳頃までに、峰っけの強い魚を淘汰していくようにする必要があるのかもしれませんね。

なぜ、峰っけが出るのかについても書いてみたいのですが、それは用語解説の範疇ではなくなるので、また別の記事として-