2014年8月1日金曜日
あえて残す魚
先日、「らんちゅうの型(かた)とは~兜巾頭と獅子頭の型(その1)および(その2)で、型の話をした時に取り上げた写真が、下の写真ですが、さすがにこれだけのスボケだといくら瘤太郎でも普通は早めにはねます。(一部追記 2014.8.9)
特に右側の兜巾タイプの方は、スボケというより歪んでついてますよね。
それでもこの魚を残していたのは、頭の付き方や胴の型がいかにも兜巾タイプっぽかったからだと思います。
タバコの太さぐらいの頃から人差し指ぐらいのサイズになるまでゆっくりと選別で数を減らしていきますが、それぐらいのサイズの頃に既に兜巾タイプの胴の型の魚として見分けられるぐらいの魚だったということなのでしょう。
今のところ、兜巾タイプとして成長していってますし、兜巾もヒダの無いつるんとした肌質の兜巾になっています。
後は、どこまで膨隆するかでこの魚の質が決まるということですね。
来年の秋ぐらい(5歳の秋)に完成するかな...
1つの腹を残すとき、肉瘤が発達する前に、20~50匹ぐらいに減らしてしまうと思いますし、
肉瘤の膨隆が始まったらどうしても肉瘤の上がってる魚を残して、肉瘤の上がってない魚を軽視する傾向が宇野系愛好家にはあると思います。
上の写真の場合、左の魚のような顔つきをしている魚の方が、置いておきたいと思うのではないでしょうか?
でも、兜巾型は、肉瘤の発達が遅いです。
故に、意識して残していかないと、「なんか肉瘤がでてないからいらないや」ということになって
しまいます。
それを防止するために、魚の胴の型を見て、兜巾タイプであれば肉瘤が出てなくても、我慢して残しておかなければならないのだろうと思います。
2013年10月25日金曜日
宇野系らんちゅうの魅力と楽しみ方(兜巾の膨隆感)
宇野系らんちゅうの魅力の1つが、豊かな肉瘤です。
そして肉瘤の中でも兜巾(ときん)を充実させることが、宇野系らんちゅうだからこそできるの醍醐味なのではないでしょうか。
兜巾とは、らんちゅうの目の上、額の部分に付く肉瘤のことです。
肉瘤の構成は、主に兜巾、吻端(ふんたん)、目の下、目の後ろ(エラの上)の4つのブロックに分かれます。
但し、昨今は、目の後ろの肉瘤は、あまり見栄えが良いものでは無いとされているので、兜巾、吻端、目の下の3つが基本の部位となると考えて良いと思います。
この中で、吻端や目の下の肉瘤が発達している個体は、どのような筋のらんちゅうにも見かけます。
しかし、兜巾の発達した個体は、限られた筋でしか見ることが出来ず、充実した兜巾を持つ個体がコンスタントに出現する筋はとても少ないと思います。
だからこそ、今、兜巾の上がる筋を持っておられる方々に、獅子頭らんちゅうとしての兜巾の大切さを再認識していただいて、兜巾が発達する宇野系らんちゅうの筋をしっかり残して行きつつ、質の良い兜巾へと改良して行っていただきたいのです。
さて、その「兜巾の質」ですが、瘤太郎は以下のように考えています。
兜巾の質の分類
1)形
2)厚み(高さ)
3)肌質
4)膨隆感
といった感じです。
「形」は、らんちゅうを上見で見た時の兜巾の輪郭の形状です。
正方形、丸形、長方形、台形などがあり、より幅の広いものが良いと考えています。
できれば正方形か横幅のある長方形が優れていると考え、背のほうが細くなっている台形や、目幅に対して細すぎる長方形は、兜巾の質としては劣っていると考えています。
(瘤太郎は、胴の骨格の良さも重要な要素と考えているのですが、細長の長方形や背の方が細くなっている台形は、胴の骨格が細くなる傾向と考えています。)
「厚み(高さ)」は、横見で見た時の兜巾の隆起の程度で、完成した親魚なら5mm程度あれば充実していると考え、最大では10mm程度にもなる事があります。
「肌質」は、兜巾の表面の状態のことで、凸凹感が無く、水まんじゅうのようにつるんとしたものを理想としています。
変な例えですが、
つぶあんのおはぎ→こしあんのおはぎ→水まんじゅう
というような感じで兜巾の表面の状態をランク分けしています。
水まんじゅうの肌質の兜巾には深い筋が縦に1本もしくは十字に入る個体もあります。
つぶあんのおはぎのようにブツブツやゴツゴツとした粒状感のある兜巾は評価を下げています。
そして、もう1つの重要な要素が膨隆感です。
膨隆感は、難しい表現ですが、兜巾が他の部位の肉瘤と独立して隆起しており、
兜巾の立ち上がりにくびれた感じがあることです。
上の図では、左側のようになだらかに隆起している兜巾と、右側のように外に膨らみながら隆起している兜巾とを比べた場合、例え兜巾の高さが同じでも、左側の兜巾は見る角度によって高さを感じられなくなることがありますが、右側の兜巾は、どの角度から見ても、しっかり盛り上がっているように見えます。
この兜巾の付け根のくびれ感が、膨隆感を演出するために重要なポイントなのですが、このような形に膨らむ兜巾を持つ魚は極めて少なく、我が家でもなかなか出てくるものではありません。
あまり良い写真ではありませんので、また撮影しなおして差し替えますが、左の魚は膨隆感の少ない兜巾を持つ魚で、右は膨隆感のある兜巾を持つ魚です。
実際の兜巾の高さ(厚み)は、左の魚の方があるのですが、膨隆感が乏しいため目立たないのです。
・ ・ ・ ・ ・
このように、形、厚み、肌質、膨隆感といった質を高めていくことが、メリハリのある肉瘤を持つらんちゅうを作っていく上で必要なことだと考えています。
ただ、そのためには、良質な兜巾の遺伝子を持つ魚を手に入れなければならないことと、
兜巾が充実してくる年齢まで(4歳以降)魚を残していく方法を知っておくことです。
残念ながら、いくら餌を付けたところで、兜巾の上がる筋の魚でなければ兜巾の充実は期待できません。(我が家にも、兜巾の上がる筋と上がらない筋があります。)
兜巾の上がる筋でも、良質な兜巾を持つ魚の出現率は低いので、4歳の秋頃まで期待できそうな魚を残して置かなければならないのです。
でも、何十匹も残してられません。だから兜巾が出そうなタイプを見分けて残して置かなければならないのです。
兜巾の出そうなタイプは、すなわち「兜巾タイプ」ということになるのですが、兜巾タイプの目安は、胡瓜型で丸胴の胴を持ち、獅子頭タイプの兄弟魚に比べて吻端や目下の発達が控えめなことです。
そういうタイプを4歳まで残しておければ、「当たり」ならばあるときから急に隆起してきます。
(はずれ→まったく肉瘤があがらない残念な魚)
時々、兜巾は、体の成長が止まってから隆起する。という話を聞きますが、瘤太郎の池で見る限りではそういうわけでもなさそうです。
ただ、兜巾タイプの兜巾が上がってくるのは獅子頭タイプより遅いです。
兜巾タイプはもともと吻端や目下の発達が控えめなので、兜巾が上がり始めるまでは、本当に寂しい顔つきをしてます(^_^;)
ついつい「もう無理かなあ」なんてハネてしまいそうになるんですよね。
そして肉瘤の中でも兜巾(ときん)を充実させることが、宇野系らんちゅうだからこそできるの醍醐味なのではないでしょうか。
兜巾とは、らんちゅうの目の上、額の部分に付く肉瘤のことです。
肉瘤の構成は、主に兜巾、吻端(ふんたん)、目の下、目の後ろ(エラの上)の4つのブロックに分かれます。
但し、昨今は、目の後ろの肉瘤は、あまり見栄えが良いものでは無いとされているので、兜巾、吻端、目の下の3つが基本の部位となると考えて良いと思います。
この中で、吻端や目の下の肉瘤が発達している個体は、どのような筋のらんちゅうにも見かけます。
しかし、兜巾の発達した個体は、限られた筋でしか見ることが出来ず、充実した兜巾を持つ個体がコンスタントに出現する筋はとても少ないと思います。
だからこそ、今、兜巾の上がる筋を持っておられる方々に、獅子頭らんちゅうとしての兜巾の大切さを再認識していただいて、兜巾が発達する宇野系らんちゅうの筋をしっかり残して行きつつ、質の良い兜巾へと改良して行っていただきたいのです。
さて、その「兜巾の質」ですが、瘤太郎は以下のように考えています。
兜巾の質の分類
1)形
2)厚み(高さ)
3)肌質
4)膨隆感
といった感じです。
「形」は、らんちゅうを上見で見た時の兜巾の輪郭の形状です。
正方形、丸形、長方形、台形などがあり、より幅の広いものが良いと考えています。
できれば正方形か横幅のある長方形が優れていると考え、背のほうが細くなっている台形や、目幅に対して細すぎる長方形は、兜巾の質としては劣っていると考えています。
(瘤太郎は、胴の骨格の良さも重要な要素と考えているのですが、細長の長方形や背の方が細くなっている台形は、胴の骨格が細くなる傾向と考えています。)
「厚み(高さ)」は、横見で見た時の兜巾の隆起の程度で、完成した親魚なら5mm程度あれば充実していると考え、最大では10mm程度にもなる事があります。
「肌質」は、兜巾の表面の状態のことで、凸凹感が無く、水まんじゅうのようにつるんとしたものを理想としています。
変な例えですが、
つぶあんのおはぎ→こしあんのおはぎ→水まんじゅう
というような感じで兜巾の表面の状態をランク分けしています。
水まんじゅうの肌質の兜巾には深い筋が縦に1本もしくは十字に入る個体もあります。
つぶあんのおはぎのようにブツブツやゴツゴツとした粒状感のある兜巾は評価を下げています。
そして、もう1つの重要な要素が膨隆感です。
膨隆感は、難しい表現ですが、兜巾が他の部位の肉瘤と独立して隆起しており、
兜巾の立ち上がりにくびれた感じがあることです。
上の図では、左側のようになだらかに隆起している兜巾と、右側のように外に膨らみながら隆起している兜巾とを比べた場合、例え兜巾の高さが同じでも、左側の兜巾は見る角度によって高さを感じられなくなることがありますが、右側の兜巾は、どの角度から見ても、しっかり盛り上がっているように見えます。
この兜巾の付け根のくびれ感が、膨隆感を演出するために重要なポイントなのですが、このような形に膨らむ兜巾を持つ魚は極めて少なく、我が家でもなかなか出てくるものではありません。
あまり良い写真ではありませんので、また撮影しなおして差し替えますが、左の魚は膨隆感の少ない兜巾を持つ魚で、右は膨隆感のある兜巾を持つ魚です。
実際の兜巾の高さ(厚み)は、左の魚の方があるのですが、膨隆感が乏しいため目立たないのです。
・ ・ ・ ・ ・
このように、形、厚み、肌質、膨隆感といった質を高めていくことが、メリハリのある肉瘤を持つらんちゅうを作っていく上で必要なことだと考えています。
ただ、そのためには、良質な兜巾の遺伝子を持つ魚を手に入れなければならないことと、
兜巾が充実してくる年齢まで(4歳以降)魚を残していく方法を知っておくことです。
残念ながら、いくら餌を付けたところで、兜巾の上がる筋の魚でなければ兜巾の充実は期待できません。(我が家にも、兜巾の上がる筋と上がらない筋があります。)
兜巾の上がる筋でも、良質な兜巾を持つ魚の出現率は低いので、4歳の秋頃まで期待できそうな魚を残して置かなければならないのです。
でも、何十匹も残してられません。だから兜巾が出そうなタイプを見分けて残して置かなければならないのです。
兜巾の出そうなタイプは、すなわち「兜巾タイプ」ということになるのですが、兜巾タイプの目安は、胡瓜型で丸胴の胴を持ち、獅子頭タイプの兄弟魚に比べて吻端や目下の発達が控えめなことです。
そういうタイプを4歳まで残しておければ、「当たり」ならばあるときから急に隆起してきます。
(はずれ→まったく肉瘤があがらない残念な魚)
時々、兜巾は、体の成長が止まってから隆起する。という話を聞きますが、瘤太郎の池で見る限りではそういうわけでもなさそうです。
ただ、兜巾タイプの兜巾が上がってくるのは獅子頭タイプより遅いです。
兜巾タイプはもともと吻端や目下の発達が控えめなので、兜巾が上がり始めるまでは、本当に寂しい顔つきをしてます(^_^;)
ついつい「もう無理かなあ」なんてハネてしまいそうになるんですよね。
2013年10月20日日曜日
宇野系らんちゅうのスタンダードとは?
あなたにとっての宇野系らんちゅうの魅力ってなんですか?
面かぶりや腰白など、鮮やかな赤と白に染め分けられた色柄の美しさですか?
それとも、獅子頭や兜巾頭などの肉瘤の美しさ?
あるいは優雅な泳ぎ?尾形?
いやいや、見た目だけじゃなくて、血統を意識したブリーディングが面白いんだ。とおっしゃる方も多いかもしれませんね。(瘤太郎もこのタイプです)
瘤太郎は、偉大な先達である宇野仁松氏が遺された血統が、数十年の時を経て、様々なスタイルで愛されていることこそが宇野系らんちゅうの魅力だと考えています。
逆に、瘤太郎は、「宇野氏の魚」がどういったものだったのかについては、あまりこだわっていません。
何故かと言うと、もう今となっては、宇野氏の魚のことを体系的に調べていくのは無理だと考えているからです。
宇野氏の魚だといわれる写真が何枚か残っているようですが、その何枚かの写真が宇野氏の魚の全てを語っているとは思えません。
宇野氏だって、色々なタイプを楽しまれておられた可能性がありますよね。
年代によって飼っておられたらんちゅうのタイプが違っていた可能性だってあります。
今、残っている写真は、ある一瞬の「記録」でしか無いと思うんです。
宇野氏と交流のあった方が、それぞれに思い出話の内容が違うのも、そういう背景があってこそなのではないでしょうか。
宇野氏が、らんちゅうを極めた方なのであれば、1つのタイプに固執したのではなく、色々なタイプを育ててみた中で、らんちゅうの軸やバリエーションを見出して行かれたのではないでしょうか。
だからこそ、沢山の人に慕われたのではないのでしょうか...
もし、そうなのであれば、その「色々なタイプのらんちゅうから見出した軸やバリエーションを体系的に書き残したもの」が見つからない限り、 宇野氏の魚を整理をすることは無理だと考えています。
でも... だからこそ、今、多様に広がって楽しまれている宇野系らんちゅうを見ながら、氏と同じように「自分なりの軸やバリエーション」を見つけていくことが楽しいのではないでしょうか?
この楽しみがあるから、宇野系らんちゅうを特別ならんちゅうとして魅了される方が多いのではないでしょうか。
私が宇野氏について考えているのは、それだけです。
本当は、「宇野系」って何?と聞かれても明確な定義ができないから、 このブログでは「宇野系」という言葉は使いたくなかったんです。
だけど、ネット検索などのことを考えると「宇野系」というキーワードを使わざるを得ないので、使わせていただいています。
その辺りの心情をお汲み取りいただければと思っています。
●宇野系らんちゅうのスタンダードとは?
さて、話をこの記事のテーマに戻したいのですが、「様々なタイプとして楽しまれていることこそが宇野系らんちゅうの魅力」と考えた場合、宇野系らんちゅうのスタンダードって何なのでしょうか?
答えは簡単...
「宇野系らんちゅうのスタンダードを1匹の魚で定義することはできない」
それが答えなんじゃないでしょうか。
あえて、今、各地で楽しまれている様々な宇野系らんちゅうに共通する「スタンダード」を考えるなら...
「多様な魅力を追求する」
ということぐらいでしょうか。
そうなると、見た目のスタンダードというより考え方のようなものになっちゃいますね。
それぐらい、宇野系らんちゅうというのは、見た目に関しては多様であると思っています。
例えば、色柄については、猩々、素赤、腰白、面かぶり、黄頭など多様な模様があり、ベタ赤のヒレを上とするといったようなマニアックな楽しみ方もありますよね。
肉瘤は、まったく出てないのはさすがに宇野系としてはNGだと思いますが、オカメタイプは兜巾を持ちえませんし、兜巾タイプの吻端は控えめです。
吻端がなければダメとか兜巾がなければダメというものでも無いように思います。
「獅子頭らんちゅう」 ですから、「獅子頭が基本」ということはできると思いますが、それだけだと宇野系の多様性は半減しちゃいますよね。
獅子頭としてはどう、オカメ頭としてはどう、兜巾頭としてはどうというように、考えるほうがよさそうです。
胴のつくりも、長手もあれば丸手もあり、峰を気にしない系統(というよりも峰の立つ華奢な感じを魅力的とする系統)、峰を嫌う系統など相反する要素もあります。
尾形にしても、小さく可愛い尾が良いという系統もあれば、前掛かりが効いて張りの良い尾が上という系統もあります。
このように、見た目(表現型)に関しては、「これが宇野系」と決めることはできない状況です。
共通しているのは、らんちゅうの多様な魅力に幅広く目を向け、それぞれの要素をより良く改良していくことだと思います。
で...
上の文章に出てきた「それぞれの要素をより良く改良していく」ための「それぞれの基準」が、宇野系らんちゅうのスタンダードになりうるものなのだろうと思います。
オカメタイプならオカメのスタンダードとして、どのようなものを理想とするか。
兜巾タイプなら、どのような要素がどうなっていればより理想的なのか...を考えるということです。
別の機会に書きたいと思っていますが、兜巾は、「大きさ」だけでなく、「肌質」や「膨隆感」といった要素でも評価することができます。
そういったことを、「これについてはこういうものを上とし、こういうものをより上とする」といったようなことをスタンダードとして決めていって点数化していけると、スタンダードに照らしあわせた評価ができるようになります。
スタンダードは、あくまでも評価のための採点基準を決めるということですから、評価の土台となる価値観が違えば採点基準も変わって当然です。
前掛かりが効いて、泳いでもしならない尾が良いと考えるか、泳ぐいだときに、ふんわりと丸みをもってしなり、尾先をしゃなりしゃなりと振り込んで泳ぐ尾が良いと考えるか、で、基準=スタンダードは変わります。
ここまで多様な表現をするようになった「宇野系らんちゅう」について考える場合、「スタンダード」を、それしか認めないという「排他的」なものとして定義するのではなく、我々の評価方法はこうである。という基準を明確にするための「個々の価値観の表現方法」として利用するのが良いのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、宇野氏は、今わかっている限りにおいては、自身の考えるスタンダードというものを後世に伝えられるようにして残すことをされなかったようです。
それが、そういうことに興味がなかったのか... 色々な魚を扱われていたからスタンダードを決める必要を感じておられなかったのか... 時とともに宇野氏自身の考えが常に変化しておられたからなのか... 今は知るすべはありません。
それ故に、氏の言葉の一端を持ちだして、これが宇野のスタンダードというのは適切では無いように思いますし、ほんの一瞬を写しとっただけの写真についても同じだと思います。
(短い一言でも1枚の写真でもそこから読み取れることは沢山あると思うので、それは役立てればいいのでしょうけど、あくまでも沢山の中の1つでしかないということも理解しておく必要があるんだろうなあ。と考えています。)
それよりも、今、宇野系らんちゅうを楽しんでいる人々が、共通に持っている「多様な魅力を楽しみながらより良い魚を創っていく」という部分を尊重し、自分なりの「スタンダード」を表現し、多くの人が「いいね」と言ってくれるスタンダードを考えていくことが、我々世代の努めなのではないでしょうか。
猩々と面かぶりを1つのスタンダードだけで残し伝えていくことは不可能です。
猩々には猩々のスタンダード、面かぶりには面かぶりのスタンダードが必要ですよね。
そのようなスタンダードを多く作っていき、多様な魅力に満ち溢れる宇野系らんちゅうを残していけるといいですね。
面かぶりや腰白など、鮮やかな赤と白に染め分けられた色柄の美しさですか?
それとも、獅子頭や兜巾頭などの肉瘤の美しさ?
あるいは優雅な泳ぎ?尾形?
いやいや、見た目だけじゃなくて、血統を意識したブリーディングが面白いんだ。とおっしゃる方も多いかもしれませんね。(瘤太郎もこのタイプです)
瘤太郎は、偉大な先達である宇野仁松氏が遺された血統が、数十年の時を経て、様々なスタイルで愛されていることこそが宇野系らんちゅうの魅力だと考えています。
逆に、瘤太郎は、「宇野氏の魚」がどういったものだったのかについては、あまりこだわっていません。
何故かと言うと、もう今となっては、宇野氏の魚のことを体系的に調べていくのは無理だと考えているからです。
宇野氏の魚だといわれる写真が何枚か残っているようですが、その何枚かの写真が宇野氏の魚の全てを語っているとは思えません。
宇野氏だって、色々なタイプを楽しまれておられた可能性がありますよね。
年代によって飼っておられたらんちゅうのタイプが違っていた可能性だってあります。
今、残っている写真は、ある一瞬の「記録」でしか無いと思うんです。
宇野氏と交流のあった方が、それぞれに思い出話の内容が違うのも、そういう背景があってこそなのではないでしょうか。
宇野氏が、らんちゅうを極めた方なのであれば、1つのタイプに固執したのではなく、色々なタイプを育ててみた中で、らんちゅうの軸やバリエーションを見出して行かれたのではないでしょうか。
だからこそ、沢山の人に慕われたのではないのでしょうか...
もし、そうなのであれば、その「色々なタイプのらんちゅうから見出した軸やバリエーションを体系的に書き残したもの」が見つからない限り、 宇野氏の魚を整理をすることは無理だと考えています。
でも... だからこそ、今、多様に広がって楽しまれている宇野系らんちゅうを見ながら、氏と同じように「自分なりの軸やバリエーション」を見つけていくことが楽しいのではないでしょうか?
この楽しみがあるから、宇野系らんちゅうを特別ならんちゅうとして魅了される方が多いのではないでしょうか。
私が宇野氏について考えているのは、それだけです。
本当は、「宇野系」って何?と聞かれても明確な定義ができないから、 このブログでは「宇野系」という言葉は使いたくなかったんです。
だけど、ネット検索などのことを考えると「宇野系」というキーワードを使わざるを得ないので、使わせていただいています。
その辺りの心情をお汲み取りいただければと思っています。
●宇野系らんちゅうのスタンダードとは?
さて、話をこの記事のテーマに戻したいのですが、「様々なタイプとして楽しまれていることこそが宇野系らんちゅうの魅力」と考えた場合、宇野系らんちゅうのスタンダードって何なのでしょうか?
答えは簡単...
「宇野系らんちゅうのスタンダードを1匹の魚で定義することはできない」
それが答えなんじゃないでしょうか。
あえて、今、各地で楽しまれている様々な宇野系らんちゅうに共通する「スタンダード」を考えるなら...
「多様な魅力を追求する」
ということぐらいでしょうか。
そうなると、見た目のスタンダードというより考え方のようなものになっちゃいますね。
それぐらい、宇野系らんちゅうというのは、見た目に関しては多様であると思っています。
例えば、色柄については、猩々、素赤、腰白、面かぶり、黄頭など多様な模様があり、ベタ赤のヒレを上とするといったようなマニアックな楽しみ方もありますよね。
肉瘤は、まったく出てないのはさすがに宇野系としてはNGだと思いますが、オカメタイプは兜巾を持ちえませんし、兜巾タイプの吻端は控えめです。
吻端がなければダメとか兜巾がなければダメというものでも無いように思います。
「獅子頭らんちゅう」 ですから、「獅子頭が基本」ということはできると思いますが、それだけだと宇野系の多様性は半減しちゃいますよね。
獅子頭としてはどう、オカメ頭としてはどう、兜巾頭としてはどうというように、考えるほうがよさそうです。
胴のつくりも、長手もあれば丸手もあり、峰を気にしない系統(というよりも峰の立つ華奢な感じを魅力的とする系統)、峰を嫌う系統など相反する要素もあります。
尾形にしても、小さく可愛い尾が良いという系統もあれば、前掛かりが効いて張りの良い尾が上という系統もあります。
このように、見た目(表現型)に関しては、「これが宇野系」と決めることはできない状況です。
共通しているのは、らんちゅうの多様な魅力に幅広く目を向け、それぞれの要素をより良く改良していくことだと思います。
で...
上の文章に出てきた「それぞれの要素をより良く改良していく」ための「それぞれの基準」が、宇野系らんちゅうのスタンダードになりうるものなのだろうと思います。
オカメタイプならオカメのスタンダードとして、どのようなものを理想とするか。
兜巾タイプなら、どのような要素がどうなっていればより理想的なのか...を考えるということです。
別の機会に書きたいと思っていますが、兜巾は、「大きさ」だけでなく、「肌質」や「膨隆感」といった要素でも評価することができます。
そういったことを、「これについてはこういうものを上とし、こういうものをより上とする」といったようなことをスタンダードとして決めていって点数化していけると、スタンダードに照らしあわせた評価ができるようになります。
スタンダードは、あくまでも評価のための採点基準を決めるということですから、評価の土台となる価値観が違えば採点基準も変わって当然です。
前掛かりが効いて、泳いでもしならない尾が良いと考えるか、泳ぐいだときに、ふんわりと丸みをもってしなり、尾先をしゃなりしゃなりと振り込んで泳ぐ尾が良いと考えるか、で、基準=スタンダードは変わります。
ここまで多様な表現をするようになった「宇野系らんちゅう」について考える場合、「スタンダード」を、それしか認めないという「排他的」なものとして定義するのではなく、我々の評価方法はこうである。という基準を明確にするための「個々の価値観の表現方法」として利用するのが良いのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、宇野氏は、今わかっている限りにおいては、自身の考えるスタンダードというものを後世に伝えられるようにして残すことをされなかったようです。
それが、そういうことに興味がなかったのか... 色々な魚を扱われていたからスタンダードを決める必要を感じておられなかったのか... 時とともに宇野氏自身の考えが常に変化しておられたからなのか... 今は知るすべはありません。
それ故に、氏の言葉の一端を持ちだして、これが宇野のスタンダードというのは適切では無いように思いますし、ほんの一瞬を写しとっただけの写真についても同じだと思います。
(短い一言でも1枚の写真でもそこから読み取れることは沢山あると思うので、それは役立てればいいのでしょうけど、あくまでも沢山の中の1つでしかないということも理解しておく必要があるんだろうなあ。と考えています。)
それよりも、今、宇野系らんちゅうを楽しんでいる人々が、共通に持っている「多様な魅力を楽しみながらより良い魚を創っていく」という部分を尊重し、自分なりの「スタンダード」を表現し、多くの人が「いいね」と言ってくれるスタンダードを考えていくことが、我々世代の努めなのではないでしょうか。
猩々と面かぶりを1つのスタンダードだけで残し伝えていくことは不可能です。
猩々には猩々のスタンダード、面かぶりには面かぶりのスタンダードが必要ですよね。
そのようなスタンダードを多く作っていき、多様な魅力に満ち溢れる宇野系らんちゅうを残していけるといいですね。
2013年8月21日水曜日
我が家の筋の構成
我が家では、魚の骨格(基礎)を作る軸となる筋と、質の良い肉瘤の遺伝子を維持するための筋、そしてまとまりの良い会用の魚を出すための筋の3つに分けて飼育しています。
種用系統(軸)
骨格や肉付きと肉瘤の形を重視した筋で、我が家の軸となる筋です。
基本的にインブリード(直系交配)です。
上の写真の3匹の場合、左と真ん中は、目幅や背幅、背から腹にかけてのふっくら感などが良くて残しています。右の魚は、二匹に比べると細いのですが、首が上向きに付いているので残しています。
兜巾系統
良質な兜巾の遺伝子を維持するための筋です。
兜巾の質は、形、大きさ、肌質で評価します。
魚が細く、硬くなっていく場合、片親を種用系統から 導入して交配する場合があります。
上の1枚目の写真の魚は、しっかりした目幅=広いおでこに、幅のある兜巾が乗っています。
兜巾の前端部の膨隆感があり、兜巾の表面にブツブツ感が無く、比較的ツルンとして
いることも気に入っている点です。
同胎で、もう少し細身に出た魚は、もっとツルンとしてます。
2枚目の写真は同系統の別の魚ですが、兜巾の高さと形を見てもらうために撮った写真です。
まだ、若い魚なので、ここからどのように成長していくのか楽しみです。
会用系統
総合的なバランスを重視している筋です。
少し短寸に仕上がるように交配を整えています。
選別では、系統としての種親選びの他、尾形や尾張りも意識して、会用魚を選別をします。
種用系統と兜巾系統の血を適宜導入しています。
上の写真の魚は、同胎の三歳魚です。
会用の系統といっても、会用に飼い込んでいるわけではないので、まだ全長60mm弱の小さな魚です。
尾形や尾の張りの良い魚は、うちに居ると飼い込んでもらえなくてかわいそうなので、
早くに貰われていきます。
なので、うちでは、そこそこ良い魚を少数選んで別飼いし、ほどほどに大きくしています。
尾の張り、顔つき、腹の型、長すぎず短すぎない胴・・・ といったところが、会用系統のチェックポイントでしょうか。
3匹それぞれに顔つき(肉瘤の形)が違うので、見比べてください。
以上の3系統が我が家の筋です。
種用系統(軸)
骨格や肉付きと肉瘤の形を重視した筋で、我が家の軸となる筋です。
基本的にインブリード(直系交配)です。
我が家の種用系統の参考魚
上の写真の3匹の場合、左と真ん中は、目幅や背幅、背から腹にかけてのふっくら感などが良くて残しています。右の魚は、二匹に比べると細いのですが、首が上向きに付いているので残しています。
兜巾系統
良質な兜巾の遺伝子を維持するための筋です。
兜巾の質は、形、大きさ、肌質で評価します。
魚が細く、硬くなっていく場合、片親を種用系統から 導入して交配する場合があります。
我が家の兜巾系統の参考魚
我が家の兜巾系統の参考魚の横見
上の1枚目の写真の魚は、しっかりした目幅=広いおでこに、幅のある兜巾が乗っています。
兜巾の前端部の膨隆感があり、兜巾の表面にブツブツ感が無く、比較的ツルンとして
いることも気に入っている点です。
同胎で、もう少し細身に出た魚は、もっとツルンとしてます。
2枚目の写真は同系統の別の魚ですが、兜巾の高さと形を見てもらうために撮った写真です。
まだ、若い魚なので、ここからどのように成長していくのか楽しみです。
会用系統
総合的なバランスを重視している筋です。
少し短寸に仕上がるように交配を整えています。
選別では、系統としての種親選びの他、尾形や尾張りも意識して、会用魚を選別をします。
種用系統と兜巾系統の血を適宜導入しています。
我が家の会用系統の参考魚
上の写真の魚は、同胎の三歳魚です。
会用の系統といっても、会用に飼い込んでいるわけではないので、まだ全長60mm弱の小さな魚です。
尾形や尾の張りの良い魚は、うちに居ると飼い込んでもらえなくてかわいそうなので、
早くに貰われていきます。
なので、うちでは、そこそこ良い魚を少数選んで別飼いし、ほどほどに大きくしています。
尾の張り、顔つき、腹の型、長すぎず短すぎない胴・・・ といったところが、会用系統のチェックポイントでしょうか。
3匹それぞれに顔つき(肉瘤の形)が違うので、見比べてください。
以上の3系統が我が家の筋です。
瘤太郎のこだわり
このブログを楽しんでもらうためには、私の基本的な考えを知っておいてもらうほうが良いですよね。
瘤太郎のこだわり
1)らんちゅうを「筋(すじ)=血統」として改良することを楽しむ
一匹の優等魚を作ることよりも、仔出しの良い系統を作ることを目標にしています。
残念ながら、私には時間的にも設備的にも優等魚を目指して飼い込む余裕はありません。
会向きのキズの少ない仔は、小さいうちに誰かに託してしまいます。
些細なキズを見るよりも、良い所を沢山持つ魚を安定して出せる筋を作りたいと思っています。
2)ランチュウには、いくつかの型があって、型それぞれに、より美しい表現がある。
型それぞれに整った形質を持つ筋を作る。
一般的には、兜巾タイプ、獅子頭タイプ、龍頭タイプというような頭の形を基本にしたタイプ分けがされますが、もう少し細かく分けることができるようです。
また、あるタイプの頭には、あるタイプの胴の型が似合うという傾向もあるようです。
そういった、タイプの組み合わせを、整えて、より良い魚を作っていきたいのです。
3)尾でハネるのが一番手っ取り早いが、尾でハネると、尾以外のパーツの形質の良し悪しを見る前にハネてしまうことになるので、多少の尾の問題は、ハネの対象としない。
奇形魚・不正魚(サシ、ツマミ、ホタテ、背のゴツなど)をハネた後、尾型と尾張りで跳ねれば、生後2ヶ月で生まれた魚の8割はハネることができるでしょう。
しかしながら、それでは、骨格の良さや、肉瘤の質を見ることなくハネてしまうことになります。
瘤太郎は、尾は一番遺伝の振れの大きいパーツだと思っていますので、遺伝的には尾よりも骨格や肉瘤の質の保存を優先しています。
そのため、多少尾の張りが悪くても(場合によってはすぼけていても)、マクレがあっても、残しています。
4)病気にさせない。病気で多数落とすのは、尾でハネてるのと同じこと...
2歳以降でエラになると、治すのが大変だから、当歳のうちにエラにかけておくという考えで、当才魚を半分ぐらい殺すような飼い方をすることもあるようですが、瘤太郎は二歳以降もエラにさせない飼い方を重視し、当歳をエラにかけて減らすようなことはしません。
5)残った魚の減らし方
尾でハネず、病気にさせないので、多数が残ります。
多数残ったままでは大きくならず、ポテンシャルを発揮させることができません。
そのため、多数残した中から、いくつかのタイプをピックアップして、少数で別飼いし、大きくします。
それでも残る魚を減らさなければならないので、奇形魚・不正魚をハネたあとは、その腹の平均とくらべて、細い魚、あまりに長い魚、あまりに小さい魚等を跳ねていきます。
瘤太郎のこだわり
1)らんちゅうを「筋(すじ)=血統」として改良することを楽しむ
一匹の優等魚を作ることよりも、仔出しの良い系統を作ることを目標にしています。
残念ながら、私には時間的にも設備的にも優等魚を目指して飼い込む余裕はありません。
会向きのキズの少ない仔は、小さいうちに誰かに託してしまいます。
些細なキズを見るよりも、良い所を沢山持つ魚を安定して出せる筋を作りたいと思っています。
2)ランチュウには、いくつかの型があって、型それぞれに、より美しい表現がある。
型それぞれに整った形質を持つ筋を作る。
一般的には、兜巾タイプ、獅子頭タイプ、龍頭タイプというような頭の形を基本にしたタイプ分けがされますが、もう少し細かく分けることができるようです。
また、あるタイプの頭には、あるタイプの胴の型が似合うという傾向もあるようです。
そういった、タイプの組み合わせを、整えて、より良い魚を作っていきたいのです。
3)尾でハネるのが一番手っ取り早いが、尾でハネると、尾以外のパーツの形質の良し悪しを見る前にハネてしまうことになるので、多少の尾の問題は、ハネの対象としない。
奇形魚・不正魚(サシ、ツマミ、ホタテ、背のゴツなど)をハネた後、尾型と尾張りで跳ねれば、生後2ヶ月で生まれた魚の8割はハネることができるでしょう。
しかしながら、それでは、骨格の良さや、肉瘤の質を見ることなくハネてしまうことになります。
瘤太郎は、尾は一番遺伝の振れの大きいパーツだと思っていますので、遺伝的には尾よりも骨格や肉瘤の質の保存を優先しています。
そのため、多少尾の張りが悪くても(場合によってはすぼけていても)、マクレがあっても、残しています。
4)病気にさせない。病気で多数落とすのは、尾でハネてるのと同じこと...
2歳以降でエラになると、治すのが大変だから、当歳のうちにエラにかけておくという考えで、当才魚を半分ぐらい殺すような飼い方をすることもあるようですが、瘤太郎は二歳以降もエラにさせない飼い方を重視し、当歳をエラにかけて減らすようなことはしません。
5)残った魚の減らし方
尾でハネず、病気にさせないので、多数が残ります。
多数残ったままでは大きくならず、ポテンシャルを発揮させることができません。
そのため、多数残した中から、いくつかのタイプをピックアップして、少数で別飼いし、大きくします。
それでも残る魚を減らさなければならないので、奇形魚・不正魚をハネたあとは、その腹の平均とくらべて、細い魚、あまりに長い魚、あまりに小さい魚等を跳ねていきます。
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