2014年7月28日月曜日

瘤さば成長日誌

いつまで続くかわかりませんが、フナ尾チームの様子でもご紹介します。






面かぶり配合のフナ尾(仮称:瘤さば)、順調に成長しております。
尾付けがどうなるんだろうと思ってたのですが、フツーにフナですね(^_^;)
上が兜巾頭型の胴、下が獅子頭型の胴です(なんて、さすがにこのサイズでは
わかりません...)

横見もみたいですか?




こんな感じです。
背なりも綺麗(^_^)

らんちゅうの型(かた)とは ~兜巾頭と獅子頭の型(その2)~

肉瘤の上がり方を胴の型で予想する...

普通に考えると関係無いだろうと思うような話ですが、
肉瘤の上がりの良い筋を維持しておられる方の池を見せてもらうと、
この法則が成り立つ場合が多いです。

肉瘤の型と胴の型をセットで考えるメリットは、

1)肉瘤の型と胴の型が一致することで、バランスの取れた魚に仕上がる。

2)胴の型が違うと、餌の与え方が同じでも仕上がり方が違うので、胴の型に合わせて
  餌やりを調整することが可能になる。

3)兜巾頭は肉瘤の発達が遅くなりがちだが、胴の型で見分けておけば、
  こいつは兜巾型だからもう少し待ってみるか...という判断ができる。
  #いつまで経っても上がらない個体も居ますが(^_^;)

と、言ったようなところです。

例えば、兜巾頭型と獅子頭型では、獅子頭型の方が少ない餌で仕上がることが
多いようです。
言い換えると、獅子頭型は餌を付け過ぎると壊れる(腹が出すぎる)ことが多いです。
そのため、獅子頭型と兜巾頭型を同じ舟で飼っていると、獅子頭型が崩れないように
ついつい餌をセーブしてしまいます。
そうすると、兜巾頭型は、その量では足りず、身体も仕上がらず、肉瘤も充実しづらくなります。


そこで、胴の型を見て、兜巾頭型の胴を持つ魚を別に分けることができれば、兜巾頭型の魚にあった餌を与えることができるということです。



さて、兜巾頭型と獅子頭型の胴の型をイラストで表現してみました。


左の獅子頭が胴の後ろ半分が張り出す水なす型の胴を持っているのに対して、
右の兜巾頭は胴の前半分も後ろ半分もさほど太さが変わらないキュウリ型やナツメ型の
胴を持っています。
そして、兜巾頭型は、腹幅が狭い分、背幅の割合が広く見えることから、
単体で見ると、広い背幅を持つ丸胴に見える傾向があります。
胴の側面には柔らかい感じは少なく、パンパンに張っているという印象を持つ
個体が多いです。

兜巾頭型が出る血統の魚を飼育している人は、同じ胎の中で、胴の型を見比べてみて、
キュウリ型・ナツメ型の丸胴っぽい個体がいたら兜巾頭型の魚かもしれない。と思って、
大事にしてくださいね。
数匹に1匹ぐらいは、ぽってりぷるんとした見事な兜巾を乗せる魚に仕上がるかも
しれませんよ。

2014年7月27日日曜日

らんちゅうの型(かた)とは ~兜巾頭と獅子頭の型~

今回もまず写真から。


少しピンぼけですが、同胎(同じ親から同じ時に採った卵の中の2匹)です。
ずっと同じ舟で飼育してきて、全長もほぼ同じです。
今、4歳かな?(多分)
尾を見れば分かる通り会用に残した魚ではありません。


この2匹で、獅子頭(ししがしら)の体型と兜巾頭(ときんがしら)の体型の
説明ができそうなので、写真に撮ってみました。

ちなみにこの子達の親は、メスは獅子頭系統の獅子頭。
オスは兜巾頭系統の獅子頭でした。
もちろん両親とも宇野系らんちゅうですが、血は少し遠い(10代ぐらい前に共通の
祖先が居る程度)です。

左の子は、獅子頭になるタイプです。
目下や吻端の肉瘤が膨らんできているのがわかると思います。
右の子は、兜巾頭になるタイプです。
左の子に比べて目下や吻端の肉瘤の発達が乏しく、兜巾の土台も小さいです。

顔つきがこの程度まではっきりしてくれば、顔つき(肉瘤の付き方)だけで獅子と
兜巾を見分けることができると思いますが、これをもっと早い段階で見分けるには、
胴の形の違いに注目して見分ける必要があります。

左の子の胴の断面は、水入り風船をボテッと置いたような感じで、横っ腹が横に張り出して
いて、背出しよりも腹じまいに掛けて水ナス型に膨らんでいっています。
これに対して、右の子の胴は、パンパンになったハムのように背出しから腹じまいに
掛けての変化が無く、ズンドウのようになっています。
(微妙な違いなので見分けるのは難しいと思いますが)

この体型の違いは、肉瘤が発達する前から同じですので、獅子タイプと兜巾タイプを
区別するときに役に立ちます。
(もちろん、兜巾体型なのに獅子になったりすることもありますが、その場合、何となく
バランスの悪い魚に仕上がっていくと思います。)

2014年6月28日土曜日

ただの日報/針子の選別をしました

6月初めに採卵した卵、無事に孵化したのですが、それ以降、仕事が忙しくなり、2週間で5回ほど事務所に泊まり込み。
そうなると当然、朝のブラインシュリンプの給餌ができないわけで、次の日のために卵をセットすることもできず... という状況になります。

孵化1ヶ月の間は、餌が足りないと、あっちゅう間にシラスになりますね。

3腹の内、面かぶり交配は、孵化数が多かったのが逆に災いして、
9割方シラスになりました...

それでも400ほど残ってたので、まあ、丁度いいか... なんて思ってたんですけど、
よーく見ると、ほぼフナ尾...

サシが多くて9割ハネたってのは時々ありましたけど、フナ尾が9割って...初めての経験です。
とりあえず、スボケてようが多少曲がってようが、フナ尾じゃなければ残して40匹ほどになりました。
まあ、色を見たいだけなので、数はそんなに多くなくて良いんですけどね。

で、あまりにフナ尾ばっかりだったので、体のよさ気なフナ尾を20匹ほどキープしておきました(^_^)

琉金のような体にフナ尾が付いた金魚を「玉サバ」というらしいですが、
らんちゅうがフナ尾になったら...  瘤サバ?
Google画像検索で調べても肉瘤がしっかりのったフナ尾のらんちゅうって見かけないので、作ってみましょうかねえ。
水槽(横見)で飼うなら面白いかもしれませんね。

普段、フナ尾って1腹の選別で数匹ってところですから、残すなんて考えもしなかったけど、
300匹以上のフナ尾らんちゅうを目の前にして、ちと残してみるか...なんてことを考えてしまいました(^_^;)

フナ尾でもベタ赤とか蛇の目とか尾びれに色が差すのかなあ... ある意味楽しみです。

 ・ ・ ・

残る2腹は、種用の筋の魚です。
こちらは、孵化数が少なかったこともあり、飢餓にならずほぼ全数残ってました。
それぞれ、選別で半分ほどに減らしました。
まだ爪楊枝の太さなので、何もわかりませんが、1ヶ月ほど経ったので、もうシラスになって全滅することも無いと思います。

2014年6月4日水曜日

宇野系らんちゅうの交配、種親の選び方(面かぶり系)

宇野系でも早い人はサクラの開花の頃に仔引きをする人がいますが(最近はヒーターを使って、もっと早く採っている人もいるとか)、自然産卵なら5月に入ってからでしょうか...
でも、夜間の水温が低下する時期は、白く溶けて全滅することも多いようですね。

瘤太郎は、ヒーターを使うと水換えの際の水温合わせが面倒なので、夜間の水温が20度を超えて安定する6月になってから仔引きをすることが多いです。
7月になってからというのもザラです。

良く、水温の高い時期に卵を採ると3日ほどで孵化してしまって、上手く育たない。という話を聞きますが、今までの経験上、特にそのような不都合はありませんでした。

強いて言えば、冬眠までの時間が短くなるので、小さいまま冬眠させなければならないということでしょうか。
小さい仔を冬眠させると、代謝機能がおかしくなるのか、全身が水ぶくれ状態になる仔が出てくるので、それが困るくらいです。


さて、本日、一腹、人工授精によって、卵を採りました。

面かぶり系の雌雄です。


中央がメス、左右がオスで、人工授精でどちらのオスも半分半分程度掛けておきました。

いずれも同胎の兄妹です。

この血統、胴については、まだ改良中なので、どの魚も背幅は今ひとつですが、
メスは、水なす型(今は卵を持っているのでパンパンですが)のしっかりした胴を持っています。
頭は、龍というかオカメ顔で目幅も少し足りません。
ヒレは、先を洗っています。(ヒレの先に赤が乗っていない)

右のオスは、ナツメ型の胴を持つ魚で、各ヒレがヒレ先まで真っ赤、顎の下も真っ赤なので、
面かぶり系の柄の土台としては、良い配色をしています。
胴もスッキリしているので、個人的には好きなタイプです。
頭は、うーん、まだもう少し成長してくれるかなあ...

左のオスは、たまご型の胴を持つコロンとした魚です。
目下、フンタンの発達がものすごい、肉瘤ブクブクのさかなです。
ヒレは、先を洗っています。
ほんとに丸手の魚なので、この体型は受け継いでほしくないのですが、龍頭の面かぶりには
この肉瘤は申し分ないです。


我が家では、ほとんど素赤同士での交配をしているので、今回のように面かぶり系同士の交配は珍しい試みなのです。
10月になれば、ほとんど色変わりが終わると思いますが、どんな柄の仔になるでしょうね。

同じメスが、来月もう1回産むようなら、猩々のオスと掛けてみて、仔の柄の違いを比べてみようかな...
でも、らんちゅうって、色変わりの頃の環境条件で柄が変わっちゃうこともあるみたいですから、別の時期に採ったら比較にならないかもしれませんね。

瘤太郎は、面かぶりの種親選びのポイントは、
・頭の充実。目幅も肉瘤も充実している個体が良い。
 目幅も肉瘤も無い先細りの面かぶりは、好みではありません。
・ベタ赤のヒレ。雌雄揃えるのは難しいかもしれませんが、せめて片親だけでも
 ヒレ先まで真っ赤に染まっている個体を使いたいです。
・胴は、極端に峰の立つものや寸詰まりのものは避けるようにしたいです。
 多少の問題は、仔の代で親を選ぶときに、なるべく親のときに目をつぶった
 部分が良くなっている仔を次の代の親にするという感じで調整します。
・尾。種親選びには、尾はほとんど気にしません。

2014年5月6日火曜日

宇野系らんちゅうの顔と肉瘤のあれこれ

小さな明二歳の記事が続いたので、今日は迫力のある写真を見ていただきたいと思います。
水換えがてら撮影した我が家の会用血統の写真です。

全て同胎の兄妹で、体長(口先から尾筒の先まで)60~70mm程度です。
兜巾の形や側(がわ:目の下、ほっぺた)の肉瘤の形が色々なのでご覧ください。

左:獅子頭・なつめ型、目下の肉瘤の張り出しが良い
右:獅子頭、水なす型、兜巾がフンタンに流れている



左上:獅子頭・水なす型、目下のスッキリしたタイプ
中央:龍頭・水なす型
右下: 獅子頭・水なす型、丸兜巾、胴が良い


面更紗
左右は龍頭気味、中央は兜巾タイプ


少し龍頭ぎみの獅子頭


スッキリした顔立ちの面更紗
ベタ赤のヒレが美しい
面更紗としては背幅を見せる


兜巾タイプの(ほぼ)面かぶり
こちらもベタ赤のヒレが美しい


どの魚も魅力的な顔をしてますでしょ(^_^)

吻端(フンタン)の飛び出し具合はどの魚も同じような感じですが、側(がわ)の張り出し具合や兜巾の形は色々ですよね。

獅子頭、兜巾頭、龍頭、おかめ頭...  全て揃ってるんじゃないでしょうかねえ(^_^;)

とある宇野系の魚を1ペア導入してから4世代兄妹掛けを繰り返し、ようやくイメージに近い仔を出せるようになってきました。

とは言え、肉瘤、目幅、首の付き方、背幅、腹形、尾筒などのパーツが、全て種親として納得できるレベルに揃っているのは、ほんの数匹です。
 綺麗な尾を持つ魚だけを選別してしまっていたら、 余程の幸運の持ち主で無い限りそんな魚は残らないでしょうね。

なので、瘤太郎は種親用は尾を一切構わずに選別を行っています。

2014年5月3日土曜日

宇野系らんちゅうの楽しみ方(前掛かりの効いた尾)

らんちゅうの鑑賞のポイントをざっくり分けるとしたら、頭(肉瘤)、形(胴)、尾 、色柄ということになると思いますが、瘤太郎の場合、頭や形が優先で、尾に関してはあまり気にしていません。
そもそも品評会に出品することよりも、良い種親を残すことの方が面白いと思っているので、種親にとって大事なこと(=頭や形)を優先しています。

もちろん「良い種親」は、「良い魚」を産ませるために存在するわけで、「良い魚」は「良い尾」を持っているべきだと思います。
で、あれば、種親も尾を重視しなければならない...と考える必要がありそうなのですが...
瘤太郎の経験では「尾」は、遺伝の振れ幅が大きいパーツですので、尾の悪い親からでも、尾の良い仔がでてきます。(逆にバリバリの尾の親でとっても、ヘロヘロの尾の仔がいたりします)

そのため、種親選びでは、遺伝の振れ幅が小さい「頭」や「形」を優先し、産まれた仔魚の中に、尾の良いのがいたら、ピックアップして会用に育てるというスタイルでやっています。

ちなみに、尾が良いということでピックアップした会用の魚でも、胴や頭の質が良いと思ったら、会用の舟から種用の舟に戻したりします。
 
と...、前置きが長くなりましたが、まあ、宇野系らんちゅうの育種という面では、尾はさほど重要視していないのですが、それでも尾の良し悪しを見分ける眼力は養っておきたいものです。

今日は、選別の時に面白い魚がいたので写真を撮っておきました。


前回の記事と同じ種用の舟に居た仔なのですが、前掛かりの効いた張りの良い尾を持つ仔です。

「前掛かり」とは、尾の一番前の軟条が付け根から少し前に向いて伸び、途中からカーブを描いて後ろに流れる状態を言います。
写真の魚は、矢印の当たりまで前にせり出しているのがわかると思います。

宇野系の場合、必ずしも前掛かりが効いている必要は無いと思うのですが、協会系では品評会に持っていく魚の場合、前掛かりが効いた張りの良い尾を持つことが重視されています。

宇野系でも品評会用の魚を創ることを主眼としている愛好会では、前掛かりの効いた尾を持つ会魚が評価が高いようです。

ちなみに、下の魚(同胎)も開きの良い尾を持つ魚ですが、
あまり綺麗な尾とは言えないように思います。


 なんというか... 単に開き過ぎというか、でかいだけというか...
筒の間延びもアンバランスの原因の1つだと思います。

上の魚も、現時点では、体の大きさに対して少し尾が大きいようですが、
いずれ体が大きくなってきたらバランスが取れ、綺麗な尾を持つ魚になると思います。
しかしながら、下の魚は、あまり良い魚にはならないと思います。
微妙ですが、やっぱり尾形も、ちょっとした良し悪しのポイントのようなものがあるのでしょうね。